第2話

「・・・ここな」

ついた先は町の北らへんの位置にある明りがほのかについた二階建ての和風建築の家。そんなに広くなさそうで質素な家にみえる。看板が立てかけてありそこには、“宿屋極楽”と書いてあった。ホムラがガラガラと引分け戸を開ける。中を見ると今さっきの外観からは思いもよらないほどの広さになっている。

「・・・はよ入り」

「は~い!!」「お、おじゃまします!!」

「右が食堂で左が居間で奥が銭湯、二階が寝室な。空って書いてある部屋は空いてるからそこに入りな布団だけど寝れるな。なんかあったら三階に来い。」

「は~い。じゃあ~銭湯に早速行こうかしら~」

「・・・まて」

「ひゃい?!」

いきなり呼び止められシシャモはびっくりした。いきなり近づいてくると、

『‟ヘルス”』

ホムラがシシャモに向かって手をかざし体が白色の光につつまれた。

「・・・怪我してたのか。」

「あ~~忘れてた~ごめんね~」

「いいんですよべつに!!!」

「・・・客だからな。」

一瞬で回復したのち銭湯に入ることになった。

――――――――――――――――――――――――――――――――

バシャ―ン

「ふ~いきかえる~!!」

「し、し、しつれいします。」チャポン

シシャモとキッドは湯船につかっていた。二人は互いにちょっと離れた場所で浸かっていた。

「そういや~名前聞いてなかったね~。私の名前は‟キッド・ザ・ビヨンド”、キッドって呼んでほしいなぁ~。この町のギルドマスターやってるよ~。」

「シシャモって言います。あのー・・・」

「どうしたの~?・・・ああ~ここがどこなのかぁ~気になるのねぇ~?」

そういうとシシャモに近づいて向かい合う形になった。

「ふぅ。・・・ここは、‟桃江神”なの。知ってる?あのなくなったっていうゲームよ。」

「?!」

驚きのあまりシシャモは声が出なかった。無くなったと思っていた。否、聞かされていた。パッチ修正が入ったにもかかわらずあるはずないと思った。事実50年以上の間見つかってなかったのだ。あるなんて誰が思うのだろうか。ましてやただ歩いてただけなのにそんな場所に来るなんて。

「そう驚くのも無理ないよね。というか知っているのね此処のこと。私も初めて来たときは驚いたのよ。この町にいる人達の大半はそういう人よ。そして、彼の名前はホムラ。・・・魔法使いで、この町の最初で最後の砦。」

そういうキッドのキラキラした目は本当だと物語っていた。あの間延びした声でもない。すべてを聞いてシシャモは・・・特に何も思わなかった。そうだろうたしかに驚くような話だ。だが、だから何だ。シシャモからすれば今はそんなことちっぽけなことだ。興味はあったが、その程度だ。自分にはもっと衝撃的なことがあったのだから。

「・・・なんかわけありな顔ね。その話聞かせて頂戴?」

シシャモはそう言われて、なぜかわからないがキッドに事のあらかたを話した。なぜだかキッドのことを信頼できる気がした。


内容を聞いたキッドは優しい笑みを浮かべ、

「へぇ~。あなたも大変ね~。・・・っとのぼせてきちゃった。上がったら居間にきてちょーだい。一階の銭湯から出て右手ね?」

そういって湯船から出て行った。

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