第五章

第五章 ①

 ちゅん、ちゅん。

 複数の雀の囀りが、窓の外から聞こえてくる。

 ............もう、朝なのか。

 俺はもう何度目かすら忘れた吐き気を抑えながら、そんなことを思っては、軽く絶望を感じた。

 昨日、かろうじて家に帰ってくるまでは人間としての正気を保てていたが、それからはもう、まともに生活という生活ができていない。

 ごはんなんか米粒一粒すら喉を通らないし、睡眠だって、ほぼ常に体が震えてしまっていて、結局一睡もできていない。

 何なら、この思考ですら、すでに危うい。

 一瞬でも気を抜いてしまおうものなら、もう何も考えられなくなるだろう。

 だから、俺は常に何かを考え続けなければならない。

 ......何も生まない、モノローグを。

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