第4話 人生楽しんだもん勝ち部
「んで、どんな部活にするんだ?」
俺はごく普通のはずだった高校生「
それで1ミリの体幹のブレなく立っているこいつは自称アンドロイド「佐東マイナ」、俺はこいつに会ってから 普通 とはかけ離れた日常を送っている。
大空へと跳んだり、気絶したり、さまざまな生活をこいつと送っているが正直俺自身もよく分かっていない。
そしてこいつは俺らの【部長】の「
「腐れ縁」ってやつだ、こいつといると暇をしないし何より楽しい。
…でこいつ、いや俺たちは今この高校で新たな部活を作ろうとしている。
「仕方ない…教えてやろう陽太、マイナちゃん。それはな……名付けて【人生楽しんだもん勝ち同好会】だ!」
「だせえな!」「なるほど。いい名前ですね!」
「だろだろ〜?さすがマイナちゃんどこかのバカとは違って分かってるねぇ〜!」
「うるせえ!……でもさすがに学校がそんな部活動は許可してくれないだろ。」
「あーそれも対策済み、一応表向きはパソコン同好会ってことにしてんだ。」
「それなら問題ないですね。」
確かに問題ないだろう。……いや本当に問題ないのか?そう考えている間に
「ヤツ」は既に職員室へと向かっていた。
………………
〜職員室〜
「許可できません。」
「えー!?奏さぁ〜んそこをどうにか〜」
「……伊藤くん、あなたは1年生の時からあまり成績がよろしくないですよね?それに伊藤くんだけではありません。佐藤くんあなたも成績が悪い教科があります、…まあ伊藤くんとは違って一つだけですが。」
この人は俺たちの担任「
年齢は確か…26ぐらいだっただろうか、堂々した態度で俺らの部活動設立申請を拒否した。
そんなことを考えているうちに佐東マイナが口を開く。
「勉強苦手だったんですね、ヨータ。」
「うるせえな!数学だけだよ!……んで先生、俺らどれくらい点数とればいいんだ?」
「そうですね……最低でも平均点以上はとってもらいます。」
……平均点以上か、少なくとも俺は「あいつ」の手を借りれば行けるだろうが問題は俊夜だ。こいつは幼い頃から勉強が苦手で受験の際も俺と「あいつ」が付きっきりで手伝いをした、恐らく今回も過酷な道になるだろう。
…………
〜帰り道・河川敷〜
「ちぇ〜奏さんのケチ〜、おい陽太お前もそう思わないか?」
「今まで勉強してないお前が悪いだろ、俊夜。」
「…んだよ〜お前まで〜。ねえねえ!マイナちゃんはどう思う?」
「ルールに乗っ取って生活するのは人間の常識です。俊夜さん頑張りましょう」
「マイナちゃんまでかよ!!……テストどうしよっかな。」
「また【あいつ】呼ぶか?」
「……いやっ、いいよ1人でやるだけやってみる。今回は俺が言い始めだし、俺の限界も試したいからさ。おっ、もう分かれ道か!そしたら二人とも……じゃな!」
「……おう、じゃあな。」「お疲れ様でした。」
俺たちは一人欠けて二人になった。そう、俺と「佐東マイナ」だ。水面に移る夕日が俺らだけを照らしている…気がする。
そんな中、佐東マイナは何か言いたそうな顔をしてこちらを見ている。トイレでも行きたいんだろうか。そう思っていた矢先に彼女が口を開いた。
「あっ、あのヨータ!」
「どした?改まって」
「勉強なんですけど……あの……」
「どうした?国語でも教えて欲しいのか?」
「いや…………わっ、私が数学教えましょうか?」
「あー悪いな、他のやつから教えてもらう予定なんだ。気持ちだけは受け取っとく。」
「そうですか……」
夕日が沈んで行くからだろうか、その日の帰り道は彼女の顔が少しだけ暗く見えた。
さらに俺は今この瞬間の返事を後悔することになる。
…………
〜佐藤家・陽太の部屋〜
……今日もいろいろあった。部活に先生、それに成績も。ベットに横になるだけでも意識が飛びそうだ。にしても何故だろうか1年生の頃の記憶なんてほとんどいないがココ最近寝る前に、2年生になっての出来事が鮮明に頭の中を流れてくる。
アイツらのいるのが楽しいから、だろうか。
そんなことを考えていると、好きなバンドの曲が流れてくる。
……ああそうだ、スマートフォンの着信音に設定したのを忘れていた。
応答ボタンを押し耳に当てる、すると良く通った声をした女性が俺を呼んでいるらしい。
「……もしもし…もしもし!」
「ああ、生徒会長か。」
「もうその呼び名は止めてよ、昔からの仲でしょ?」
「へいへい、悪かったな。
「もう……そういえば勉強会って言っても二人だけどどこでやるの?」
「そうだな…じゃあいつもの図書館でいいか?」
「了解、ちゃんと教科書忘れないでよね」
「おう、そうしたら切るぞ。」
終了の合図をし、お互いの通話が終了する。
そろそろご飯が出来上がっただろう食べに行こうかとしていたその時、
「……ヨータご飯できましたよ。」
「お、おうありがとな。」
「…………」
………………
「マイナ、手伝おうか?」
「大丈夫です。」
「…分かった。」
夕食を終え、食器を片付ける。なぜか元気の無い彼女を無理やり話すと逆に機嫌が悪くなりそうなので、その時はあえて触れなかった。
……というかアンドロイドに機嫌なんてあるのだろうか。そんなどうでもいい事を考えていると母が口を挟んでくる。
「あんまりマイナちゃんに意地悪しちゃだめよ。」
「してないって。」
「嘘つき〜マイナちゃんすごく元気なかったわよ〜」
「ホントだって!」
「…まあとにかく、仲直りはしておきなさい。」
………………
その日の夜はマイナと話すのは1度もなかった。
………………
〜佐藤家・玄関前〜
「陽ちゃーん!雨降るらしいから、傘忘れないようにね!」
「はいはい、分かってるって!」
靴紐を結び、荷物を確認し身だしなみも確認する。ちなみに海梨の教え方はかなりのスパルタであの俊夜でさえも涙を流した回数は少なくない。
窓を開けるとまるで初夏のような太陽が自分を照らしている。恐らく傘は必要ないだろう。
「…今日はキツい日になりそうだな。」
そう言ってドアを開け歩みを進める。
……何か忘れている気がするが、まあ良いだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます