第59話後日談

 後日談として、彼の話をしようと思う。あのあと、私は特に彼へは干渉しなかった。なのでもちろん、デートを尾行したりなんて野暮なことはしていない。だから彼の報告を待つことにした。

 結果として、告白をしたはいいものの「まずは友達から」と言われたらしい。付き合えてはいないものの、米太郎くんは「あとは自分で頑張ります」と言い残し部室を出て行った。

 まあなんにせよ、今回も依頼は無事解決。めでたしめでたしってところかしらね。

 私が満足気に遠くを見つめていると、新藤くんがジトーと見つめてくる。

「おい、何いい感じで終わらそうとしてんだ? どこも無事じゃねぇんだけど。傷だらけだよ、心が」

 怒る気力もないのか、ブツブツと文句を言ってくる。今回は私のせいではないのに、全くうるさい男だ。いつもならここでさらに深手を負わせてやるところだが、今日は気分がいいので私は優しく返す。

「もうすでに虫の息だったのだから一緒じゃない。むしろ、さらに悪名が広がって、ちょっと有名になったのだし、逆によかったと考えてみたら?」

「無理だろ。なんもよくねーもん。ほんと、お前と出会ってからろくなことが無いな……」

「あら? 自分から入部しといてよく言うわね」

「う……確かにそうだけど」

「でしょ。自分から死地に飛び込んできたのだから、うじうじ文句を言わないでちょうだい」

「死地って、まさかこんな目に遭うとは思わなかったんだよ」

 いまだに文句を垂れる新藤くん。本当に懐の狭い男だ。

「今回の米太郎くんの依頼が成功したのだからいいじゃない。最後にあなたが女子生徒の胸を揉んだから、彼は勇気を出せたのよ」

 それっぽいことを言うと、新藤くんは納得いかなそうな顔をしつつも、ちょっとだけ嬉しそうにしていた。

 相変わらず単純な男だ。そんなこんなで、今回もまた、私たち恋愛部は依頼を達成できた。

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