第53話詰む
特に解決策も思い浮かばないまま、放課後の部室で私と新藤くんは話し合う。
「さて、どうしたものかしら……」
問いかけるよう呟くと、新藤くんは「そうだな……」と悩んだふりをしながら答えてくれる。
「最初の時みたく、俺が襲って米太郎が助け出すってのは?」
彼の提案は私が最初に発案した案だった。でも、あれは相手が気弱な柏崎さんだからできた作戦だ。
「無理よ。彼女、気が強そうだし、あなたが返り討ちに遭う可能性の方が高いわ」
「う……。じゃ、じゃあ土下座は?」
「いきなり土下座するような人と付き合いたいと思う?」
「じゃあパンツを……」
「相手の許可なしにめくったら、本当の犯罪者よ。というか、よくここまで杜撰な作戦が成功してきたわね」
自分の作戦が成功してきたことに感心していると。
「お前が言うのか……」
新藤くんが呆れて言ってくる。まあ今は過去の成功に感心している場合ではない。
あの二人が付き合えるとっておきの作戦を考えなければいけない。そうなるとまず……。
「米太郎くんに群がる女子たちが邪魔ね。彼女たちがいるせいで、米太郎くんは引け目を感じて前に進めないじゃない?」
今回米太郎くんをあの女子生徒とくっつけるにあたり、群がっている女子たちがどうしても障害となっている。
悩ましい……。実に悩ましいことだ。どうしたものかと悩んでいると、ちょうどタイミングよく扉がノックされる。
「どうぞ……」
私が扉の方へ声をかけると、ギャイギャイやかましい声とともに、米太郎くんとその仲間たちがやってきた。なんで彼女たちまで……。
私はジロッと横にいる二人の女を睨み付けると、彼女たちも私を睨み返してくる。
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