第52話計画の破綻

 米太郎くんの好きな女子に、私は自信満々に問いただす。

「単刀直入に聞くわね。あなた、米太郎くんのことが好きでしょ」

 ハッキリと確信を突くが、目の前の女子生徒は私のことを怪訝そうな顔で見つめて否定してくる。

「いや、全然好きじゃないですけど。もう行っていいですか?」

 そこには、照れて必死に否定する可愛らしい女子の姿はなく、面倒くさい先輩に絡まれてダルそうにしている女子生徒しかいなかった。え? 本気? 本当に好きじゃないの? ツンデレとかでもなく。

 勝手に彼は全世界の女性から好かれてるものだと勘違いしてたけど、別にそんなことはないって言うの? よくよく考えればそんなことあるわけないのだが、謎のバイアスが私にかかっていたと言うことか。

 てか、なんでよりにもよってあの子は好きな異性から好かれてないの? どうでもいい女を侍らす前にやることがあるでしょ!

 一気に計画が崩れ去り、頭が痛くなる。とりあえずもう少しだけ話を聞こう。

「ちょっと待ちなさい。じゃああなたは米太郎くんのことをどう思ってるの? 付き合えるのなら付き合いたい?」

 なんだか尋問みたいになってしまったが、考えてる余裕はない。もし米太郎くんに対して少しでも好意があるのなら、私の計画は果たせられる。しかし、私に質問された女子生徒はより一層怪訝そうな表情を作ると。

「別に彼のことはクラスメイトとしか思ってません。もうそろそろお昼休みが終わっちゃうので戻りますね」

 意味のないことで時間を奪われたのに腹を立てたのか、彼女は不機嫌そうにして自分の教室へ戻ってしまった。

「どうすんだ?」

 隣で何にも考えてなさそうな男が、呑気に聞いてくる。

「どうするもなにも、別の方法を考えるしかないでしょ……」

 全ての計画が崩れ、私は呆然と立ち尽くす

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