第21話バレなきゃ大丈夫理論
またなんか変なのがきたよ。前回に引き続き、なぜヘンテコなやつばかりが訪れるんだ? 俺たちは一旦口論を止めると、部室へ入ってきたオカッパ君を俺の隣へ座らせた。
「えーと、部室を貰うってどう言うことかしら?」
オカッパ君の言っていることの意味が理解できていない篠原は、オカッパ君に状況の説明を求める。篠原に質問されたオカッパ君は、にゃははと笑いながら自分が何故ここにきたのか説明を始める。
「そのまんまの意味だよ。僕ね、新しく『ゲーム部』って部活動を作ろうかと思ってるんだよ。でもね、そのための部室がないんだよ。でもそんな時、ちょうどこの部室を見つけてね。だからいただいちゃおうって思って!」
思って! って、そんな可愛く言われても……。
「流石にそれは横暴と言うか、勝手なんじゃないか? ここは正規の許可を取って使わせもらっているわけだし……」
オカッパ君のワガママな言い分に反論すると、オカッパ君はきょとんと可愛らしく首を傾げる。
「正規とか許可とか、君は何を言ってるの? この部活は顧問もいないし生徒会の許可も得てないんだから、全く非正規な部活だよ。いや、そもそも部活でもないか」
いきなり衝撃の事実を伝えられ、俺は開いた口が塞がらなかった。え? ここってなんの許可も得てないの? 確かに顧問とかいねーなーとか思ってたけど。じゃあ何? この部活って、篠原が勝手に名乗ってるだけなの?
俺は怪訝な眼差しを篠原に向けると、向けられた本人はダラダラと冷や汗を流してそっぽを向く。マジかよ……。まあ普通に考えれば、「恋愛部」なんておかしな部活動を生徒会が許可するわけないもんな……。
だって意味わからないもん。
「えっと……篠原さん?」
ジトーと篠原を見つめると、吹っ切れたのか開き直ったのか、ふふふといきなり笑いだし。
「犯罪っていうのはね、バレなきゃ捕まらないの。悪事を働いたところで、バレなきゃ罪に問われないのよ。つまり! バレなきゃ何をしてもいいということよ」
「「…………」」
意味不明な持論を堂々と言い出す篠原に、俺とオカッパ君は呆れてしまう。でも篠原はそんなこと御構い無しに言い返してくる。
「そもそも、生徒会の許可がないと部活動を行なってはいけないと、誰が決めたの? 教師? 生徒会? 果たして彼らにそんなことを決める権限があるのかしら?」
あるだろ、知らんけど……。はぁ、今日でここも終わりか。でも短かったけど、それでも濃い時間だったなと一人で感慨深く思っていると、オカッパ君は「まあまあ」と俺たちを落ち着かせる。
「落ち着いてよ二人とも。僕は何も強引に奪い取ろうとは思ってないよ」
オカッパ君の言葉に、篠原は冷静になり質問する。
「じゃあどうやってここを貰うつもりかしら?」
篠原の質問に、オカッパ君は待ってましたと言わんばかりにトランプを取り出すと。
「もちろん、ゲームでさ!」
バンと机の上にトランプを置いた。
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