第22話命運をかけた。
「「ゲーム?」」
俺と篠原がぴったりとハモり聞き返すと、オカッパ君はさらに鞄からコインを取り出し、今から始まるゲームについて説明してくれる。
「ゲームは一対一のポーカー。賭け金はこのコインで、先に0枚になった方の負け。
ポーカーの説明は必要かな?」
「えぇ、お願いするわ」
「オーケー! まあ細かいルール等は省くから、簡単な説明だけ。まずトランプはジョーカーを抜いた計52枚のカードから、それぞれに5枚ずつ配るよ。
そこでカードが強ければそのまま。気に入らなければ、『ドロー』と言って、いらないカードを捨てるんだ。捨てた枚数だけ、新しいカードが貰えるよ。ちなみに、役の強さはこの紙を見てね」
オカッパ君は、鞄からポーカの強さ一覧が書かれた紙を取り出すと机の上に出した。
「Aが一番強くて、2が一番弱い。ここまではいいかな?」
「えぇ、大丈夫よ」
「じゃあ次の説明。カードが揃ったら、まずは最低一枚コインを賭けてもらう。そこから『フォールド』つまりは降りたり、もしくは『レイズ』で賭け金を上乗せしたりする。どう?」
オカッパ君のわかりやすい説明を受けると、篠原は「ちょっといいかしら」と俺のことを呼びつけ、廊下に連れ出した。
「新藤くん、ポーカーってやったことある?」
「いや、ないけど」
「そう……。それじゃあ私がやるわ。だからあなたはこれを使いなさい」
使いなさいと言われ、俺は篠原から手鏡を手渡される。コイツせこいな。でもこっちは初心者だし、いいのか……?
俺は罪悪感を感じながらも部室に戻ると、オカッパくんは興味津々に。
「何話してたのー?」
聞いてくるので、篠原は。
「別に、どっちがポーカーをやるか話してただけよ」と嘘を吐く。
それだったらいちいち廊下に出る必要ないよね? とか思われてないかなと不安になりつつも、俺はオカッパくんの後ろに立って、手鏡を出そうとする。
するとオカッパくんは、急に後ろを振り向き。
「君、暇ならディーラーやってよ」
いきなりディーラーをやれと言われ、早速篠原の考えた不正が封殺されてしまった。だがディーラーなんて言われても、俺には出来ない。そのことを伝えると、オカッパくんは笑いながら。
「別にカードを配るだけだから大丈夫だよ。ほら、万が一不正とかあったら困るじゃん?」
ニヤッと不敵な笑みを浮かべて言ってくる。もしかしたら俺たちの考えていた浅い手の内なんて、とっくに見破られていたのかもしれない。さすがゲーム部なんて、恋愛部に負けず劣らず意味のわからない部活を作る人間なだけある。
「それじゃあ始めてもいいかな?」
オカッパくんは今か今かと待ちきれない様子だが、篠原は「ちょっと待って」と手をあげ質問する。
「そういえば、あなたは何を賭けるの? 私たちは部室を失うのだから、それ相応のものを賭けてもらえるのよね?」
「あー確かに忘れてた。じゃあ僕に何でも命令できる権利、なんてのはどう?」
よほど自身があるのか、大胆にもそんなことを言ってくるオカッパくん。その挑発を受けた篠原は。
「その発言。忘れないことね」
煽るように言うと。
「私が負けたら部室を失う。あなたが負けたら何でも言うことを聞く。それじゃあ盟約に誓って」
某有名ラノベのバトルスタート時に発せられるセリフを吐く。篠原のセリフに、オカッパくんも楽しそうに篠原の発言を繰り返すと、二人そろって。
「「
と言い放った。コイツらいてーな……とか思いつつ、今後の命運をかけたポーカーが開始された。
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