第37話人を喰らうもの

レイミヤは新しい服に着替えようとすると体についている泥のことを忘れていた。


この泥一体どうすればいいんだろうとひとまず考えるとアランが飲み水用に川から大量の水を持ってきていたことを思い出した。


「アランさん!」


二人は洞窟の両端にいるのでレイミヤは大きな声でアランを呼んだ。


「は、はい!!」


アランは外に向かって話しているのにもかかわらず洞窟内にもい超える声で話した。


「服を着替えようとしたんですけど、体についている泥を落としたくてアランさんが汲んできた水を使いたいんですけど大丈夫ですか?」


「全然いいですよ!!」


「ありがとうございます。」


レイミヤは早速水を使おうとしたが、水は荷物と一緒に置いてあるため持ってきてはいなかった。


しかも荷物はアランのすぐ後ろに置いてあった。


レイミヤは悩んだ。


アランに水を取ってきてもらうかアランがこっちを向かないことを信じて自分で取りに行くか。


でもアランに水を取ってきてもらうとアランに迷惑がかかるかも。


取りに行ったときにもしかしたらアランがこっを向いてくるかも。


迷惑をかけたくないでも見られたら恥ずかしい、レイミヤは頭の中で葛藤していた。


悩んだ末にレイミヤは後者を選択した。


「アランさん、何があっても絶対に後ろを向かないでくださいね。」


「分かりました。?」


アランは言っている意味が分からなかったが返事をした。


レイミヤはどうやって取りに行こうかと迷ったが、靴を履き、体に服を押し当て取りに行くことにした。


借りにアランが振り向いたとしても恥ずかしいところは隠しながら荷物に向けて歩き始めた。


レイミヤがいたところから荷物のところまでは3メートルもない距離だったがレイミヤにはものすごく遠く感じていた。


服を押し当てながら近づいていたのでいつもよりも歩幅は狭くなっており、身も少し低くしていたので余計に歩幅は狭かった。


じりじりと荷物と近づきようやく荷物のところまでたどり着いた。


レイミヤは水を持ちアランの方を向いたままゆっくり後退りした。


足を引くずりながら後退りをしているとレイミヤの姿勢が後ろに崩れた。


小石に気づかず躓いた様だ。


レイミヤはその場所両手で両手で受け身を取り、しりもちをついた。


レイミヤは何も来ていなかったので地面に直接座ったため小さな小石がお尻に刺さった。


「痛っ」


「レイミヤさん、大丈夫ですか!?」


アランは顔をゆっくり後ろに向けた。


レイミヤは両手を地面についているため体を隠すものが何もない状態だった。


その状態でアランに体の正面を向けてしりもちをついている状態、レイミヤは大きく息を飲み込んだ。


「ダメー!!」


アランはレイミヤの声を聴き首の動きを止めた。


「アランさん何ともないので大丈夫ですので心配しないでください。」


「わ、分かりました。」


レイミヤは急いで立ち上がり足早に元の場所に帰った。


持ってきた水をタオルにしみこませレイミヤは体全身を拭いた。


体を拭き終わった後ほかに泥がないか確認した後持ってきた服を着た。


「お騒がせして申し訳ありません。」


着替えたレイミヤはアランの元へと寄って行った。


「大丈夫だけど、さっきは大丈夫だった?」


服を着たレイミヤを見てアランは緊張が無くなった。


「ええ、問題ありません。それにしても雨はまだまだ降りそうですね。」


空は一面暗い雲に覆われており山の向こう側も黒い雲で見切れていた。


「今日はここで休んで明日出発しよう。」


「そうですね。分かりました。」


外は雨が降っていたため火を起こすための薪がなかったため、今回の夕食は干し肉などの保存食になった。


ロウソクを使い暗くなった後も洞窟の中を照らすには十分だった。


夜になっても雨は止まず振り続けていた。


二人はロウソクに火を消し、眠りについた。




近くのところで3メートルはあるであろう巨体が岩を削りながら穴を掘っていた。


穴を掘っていると鉱石が混じって出てきた。


鉱石を拾い上げ口元へと運び口の中に入れた。


がりがりと音を立てながら鉱石を口の中で砕き飲み込んだ。


すると手の爪が伸び横に太く長い爪になった。


辺りを見渡すと一つの光を見つけ見つめていると光が消えた。


巨体は光があった方へと走り出した。


近くまで来ると巨体の物が掘った穴の中で誰かが寝ていた。


中には馬が一頭と男一人がいた。


それを見つけると口元からよだれが足れ始めた。


狙いを定め、一直線穴を目指した。


馬が気づき立ち上がり何かが迫っていることに気づき逃げ出そうとしたが、鋭い爪が馬の体を引き裂いた。


馬は大きく鳴き、その声を聴いて男が目を覚ました。


「どうしたい対何があった?」


眠そうな声で起き上がると目の前光景に目が一気に覚めた。


馬がいたところには馬ではない何かが座り、馬を食べていた。


「な、なんなんだこいつは!?」


男が声を出すと馬を食べるのをやめ巨体の首が男を睨んだ。


男は背を向け逃げ出そうとすると、体をつかまれ逃げられなかった。


「くそ、放しやがれこいつ!!」


掴まれた手に殴りかかるもびくともしかった。


男の様子を見て巨体の物は男を口元へ運び出した。


「よ、よせ!!やめてくれ!!たすけ・・・」


男が助けを求めていると男は食べられた。


巨体の物はまだ食べているときにまた一つ明かりを見つけたがすぐに消えてしまった。


巨体は次の獲物を見つけたが、先に襲った男と馬をまだ食べていた。


巨体の物が次に選んだ獲物とは・・・




朝日が洞窟の入り口を照らした。


レイミヤはアランよりも先に目が覚めた。


体を伸ばし洞窟の中を見ると何かがおかしいことに気が付いた。


いるはずの馬がそこにはいなかった。


レイミヤは外に出て馬を探したが見える範囲には馬の姿が無くなっていた。


遠くの方から何かが洞窟めがけて向かってきていることに気が付いた。


レイミヤは馬がどこかへ行って帰ってきたと思って洞窟の中へと戻っていった。


洞窟の中に戻るとズンズンと重い何かが向かってきていることが分かった。


‐グォ――!!-


外から聞きなれない声が聞こえてきた。


どんどん音は大きくなっていき、地面が少し揺れだした。


レイミヤが洞窟の入り口に目を向けているとそいつが洞窟の中へと入ってきた。


しかし、穴は小さく体の半分しか洞窟に入ることができなかった。


アランも目を覚まし洞窟に突っ込んできた正体を見た。


「こいつは、オルソ!!」


オルソは外見はクマにに近い生物で、鉱石を食べることで爪を大きく鋭く固くして獲物をしとめ捕食する生物。


アラン達や男が洞窟だと思っていたところはオルソが鉱石を食べるために掘った穴だった。


「逃げ場はあいつに塞がれた。やるしかない!!」


アランが剣に炎を纏わせオルソに向かっていくと、オルソが息を吸い口を閉じ口の中に何かを出した。


口の中に出したものをアランめがけて噴出した。


アランに向けて噴出したもの、それは鉱石を一緒に食べた石だった。


砕いた石はオルソの中にため込まれ固められた後体外へと出すが、それを攻撃に利用した。


アランは瞬時に石を防いだが噴出した直後で威力が強く、アランは洞窟の奥へと飛ばされた。


アランは頭を石の壁にぶつけ、目の前がぼやけ意識を失いそうになった。


オルソは無理やり手を入れレイミヤに向かって手を伸ばした。


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