第36話突然の雨
馬車は何もない道を進んでいると、草が生えていない地面が丸裸になっている道を見つけた。
その道は整備されていて、他の馬車が通った後があった。
道はアランとレイミヤが目指す方向に伸びていた。
アランは馬車を道の上に乗せ道に沿って馬車を走らせた。
「レイミヤ、そろそろサンを休憩させようと思うので一旦止まりますね。」
レイミヤは、まださん付けがない呼びかけに照れていた。
「わ、分かりました。」
アランが馬車を走らせていると小さな川が流れていた。
「川が見えるのであそこに止めますね。」
アランは馬車を道から外し川の近くに止めた。
アランは轡を外し馬に水を飲ました。
アランも水を入れる革袋を取り出し中に水を入れた。
革袋はパンパンに膨れ大量の水を革袋に入れた。
「レイミヤも水を飲んどいたほうがいいですよ。あとどれくらいで到着かわからないから。」
アランはさん付けが無くなっても特に何も気にしていなかったがもう一人はそうではなかった。
「わかったよ、ア、アラン・・・さん」
レイミヤはまだアランをさん付けしていた。
なんでアランは平気で呼べるの?!
なんとも思ってないわけ!?
私だけが気にしているの?
だとしたら私が馬鹿みたいじゃない。
でもなんで、アランをさん付けしないで呼ぶだけなのにこんなに恥ずかしいのかしら。
他の人なら平気で呼べたのに。
レイミヤは腕を組み時折頭を頷くなど首を横に振るなどしていた。
「レイミヤはいったい何をしているの?」
その様子を不思議に思ったアランが聞いた。
レイミヤはハッと我に戻り慌てていた。
「い、いえ何でもないですよ。」
アラン達は川で一時間ほど休憩した。
「そろそろ行こうか。」
「ええ、分かりました。」
アランは馬車を道に沿って走らせた。
馬車を走らせていると空が暗くなり黒い雲が現れた。
一粒の水がレイミヤの鼻に当たる。
「アランさん、雨が降ってきましたね。」
小雨だからすぐ雨宿りしなくても大丈夫そうだね。
2~3分すると大粒の雨が大量に降ってきた。
アランは急いで雨宿りできそうな場所を探していると、ぬかるみに車輪が取れれている馬車が道を外れたところにいた。
おじいさんが荷台を押しているが一向に進む気配がなかった。
「ちょっとレイミヤはここで待ってて。」
アランは馬車を止め、おじいさんのところに駆けつけた。
「おじいさん手伝いますよ。」
「すまん、助かるよ!」
アランがおじいさんの右側に付き、加わるとあと少しのところで抜け出せそうになったがそれでもまだぬかるみから抜け出せなかった。
「あと少しー!」
荷台が少し軽くなりするとぬかるみから車輪が外れた。
「よし!」
アランが前を向くとレイミヤがアランの反対側で押していた。
「レイミヤ、待ってろって言っただろ。」
アランは少し声を荒げていった。
「いいじゃないですか。人助けですよ!。」
「まあまあ、二人とも助かったよ。」
おじいさんが二人の喧嘩を止めた。
「いえ、力になれてよかったです。」
レイミヤが言うと馬が暴れ泥が跳ねた。
跳ねた泥は全員にかかったがレイミヤの方から泥が跳ねたためレイミヤに大量の泥がかかった。
服は前半分のほとんどに髪の毛や頬にも泥が付いていた。
「こりゃあすまん。うちの馬が迷惑を。」
レイミヤは自分がどうなっているのかわからなかった。
「いえ、だいじょうぶです。」
おじいさんの馬車を走れる道まで持っていくとおじいさんはお礼を言って走っていった。
「俺たちも早くどこかに雨宿りをしよう。」
アラン達も馬車を走らせ雨宿りができそうな場所を探した。
雨の勢いは増すばかりでやむことはなかった。
山の近くを取りかかると山肌に洞窟を見つけた。
「あそこに洞窟があるからとりあえずあそこに避難しよう。」
アランは洞窟に向かって一直線に進んだ。
洞窟は意外にも浅く奥行きは3メートルほどしかなかった。
奥には小さな岩が一つあるくらいであとは小石が転がっているだけだった。
馬車の荷台が入らなかったので馬は別に洞窟の中に入れた。
「レイミヤの服どうしようか?」
泥で汚れ雨にも濡れたせいで服の色は茶色に染まっていた。
「・・・ちょっと洞窟の外見ててもらっててもいいですか?」
アランはすぐに言葉の意味を察して洞窟の雨に濡れないギリギリのところで外に向かって座った。
「見ないでくださいね。」
レイミヤは小さな声でつぶやいた。
「はい!!」
アランは体が石みたいに固まっていた。
レイミヤはカバンから替えの服を取り、洞窟の奥に行き岩に替えの服を置いて洞窟の入り口に背中を向けて泥が付いた服を脱ぎ始めた。
雨は服の下まで濡らしていた。
レイミヤはいちどアランを見て外を向いているのを確認すると一度服をすべて脱ぎ着替えた。
アランの耳には雨の音と布のこすれる音が聞こえていて、顔が赤くなっていた。
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