第34話お礼の品

オロバスを倒すとアトの指輪にオロバスは戻っていった。


アランはカールをレイミヤはアトを両隣になる様に並ばせ寝かせた。


二人は気絶していて、まだ生きている。


「かの者の傷を癒したまへ、クルーラ。」


レイミヤはアランとフラウロス、アンドロマリウス、ハーゲンティを癒した。


皆を治すとレイミヤはカール、アトも癒した。


二人を治すとカールだけが目を覚ました。


「ここは?」


カールは目を覚まして周りを見るとアランがいるのを発見してすぐさま手を合わせた。


「ごめんなさい、アラン君。君に濡れ衣を着せたのも、兵士を使って君を捕まえようとしたのも僕なんだ。実は、アトに言われてやったんだけどアトを責めないでくれ。アトは本当はこんな人じゃなかったんだ。突然人が変わったようになってしまって、それでもアトの言うことを聞けばもしかしたら元の後に戻るんじゃないのかと思ってアトに従ってたんだ。アレは僕がアトの為になると思ってやったことなんだ。攻めるなら僕を責めてくれ。」


カールはアランに謝罪すると経緯をアランに話した。


アランに話しているとアトが横で倒れているのを発見する。


「アト!!」


カールはアトに駆け寄りアトを抱き抱えた。


「アト!アト!!目を覚ましてくれ。」


カールはアトをゆすり目を覚まさせようとした。


するとアトは目をゆっくりと開け始めた。


「カール?」


カールはアトが目を覚ますと涙が出てきた。


「よかった、よかったよ。」


カールはアトに抱き着いた。


アトは状況を全く理解できていなかった。


「もう、どうしたのカール?ここはどこなの?そこの人たちは?」


アトは何故ここにいるのかアラン達のことも覚えていなかった。


「覚えてないのかい?確かカールが木材の下敷きになった後家で一人になったとき誰かの声がして、それで・・・思い出せない。確か名前を言っていたけど思い出せないの。」


アトはうろ覚えな記憶を思い出してみたがほとんどの記憶が無くなっていたようだった。


アランはオロバスが戻っていった指輪のことについて聞いた。


「アトさん、その指輪のこと何か覚えていますか?」


「ええ、これはカールが私にくれた指輪よ。」


「信じられないかもしれませんが、その指輪に今悪魔が入っています。」


アランはアトに指輪についての説明をした。


「そんなことあるわけがないわよね?」


アトはカールに顔を向け確認した。


しかしカールは静かに首を横に振った。


「いいですか?アトさんはその中にいる悪魔のせいであなたは今やこの国の王になっているのです。それまでにアトさんは恐らく様々なことをしてきたでしょう。アトさんは悪魔に心をそそのかされてしまってそれでまるで人が変わったようになっていたそうです。それでも、カールさんはあなたの言うことを聞くことであなたを元に戻そうとしていました。それもたった一人で。」


アトはアランの説明を聞いて思いつめた表情をしていた。


「カールごめんなさい。あなたにもひどいことをしたでしょ?でもわかって、私がしたわけじゃないの。」


アトはカールか徐々に距離を開けていった。


「分かってる大丈夫。僕の方こそごめん結局僕は君を元に戻すことはできなかった。君を守ると言ったのに。」


「アトさん、確かにあなたは悪魔のせいとはいえ簡単には許されないことをしてしまったかもしれません。あなたはそれを償わなければありません。それは、私にはわかりませんがあなたにはカールさんというあなたを守る人がいる。カールさんと一緒に罪を償えば神もあなたのことを許してくれるはずです。なので人生をあきらめず生きてください。」


レイミヤはアトに聖女見習いの時に教わったであろう慰めの言葉を言った。


「アトさんしばらくその指輪を俺に貸してくれませんか?悪魔を離したのちまたあなたに返しますから。」


アトは指輪を見た後カールと目を合わせた後二人はうなずいた。


「アランさんこの指輪処理相と思います。この悪魔を断ち切る意味でも新しく二人で暮らしていく意味でもこの指輪を手放そうと決めました。もしアランさんが必要なら差し上げます。」


アトは薬指から指輪を取りアランに差し出した。


「分かりました、では指輪はこちらで持っておくことにします。その前にアトさん契約解除と言ってください。そうすればこの中にいる悪魔から解放されます。」


「分かりました。契約解除。」


アトがそう言うと指輪とアトに小さな鎖が現れた。


鎖は双方に引っ張られて鎖はちぎれた。


「これで、悪魔との契約は無くなりました。」


「ありがとうございます!」


すると、割れている窓から日が差し込み室内を照らした。


室内のカーペット、カーテンは焦げていたり、切り裂かれていたりと部屋はボロボロだった。


「俺とレイミヤはもうこの町を離れます。他にも悪魔に操られている人や困っている人がいるかもしれないので。」


アランは指輪を握りレイミヤを連れ部屋から出た。


「ちょっと待ってくれ。」


アラン達が出てきた部屋からカールがでてきてアラン達の元へとやってきた。


「君たち、そういえば歩きながらの旅をしていたよね。もしよかったらこの城の横にある、馬車を持って行ってくれ。君たちの旅の助けになればいいけど。」


「いいんですか?」


「もちろん君にアトを助けてもらったからねこれで足らないくらいだよ。」


「ありがとうございます。」


アランはカールに馬車の操作方法を聞いて城を後にした。


アランはカールに言われた通り馬車に荷物を置き馬の手綱を握り馬車を走らせた。


「アランさんあれを見てください!!」


レイミヤが指をさして城を指さした。


アランが城を見ると割れた窓ガラスの向こうに抱き合うカールとアトの姿が見えた。


窓の前を白いハトが数羽飛んでいった。


その光景を横にアラン達はオンバスの国から離れた。


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