第24話一匹のチェルヴァ
アランが目を覚ますと焚火の火が消え燃えた炭だけが残っていた。
慌てて目を覚ますとレイミヤの姿が無くなっていた。
アランの目が一瞬で覚めた。
「レイミヤ!レイミヤ!!」
アランはあたりを探したがレイミヤの姿は見つからなかった。
レイミヤが何かに襲われたのではないかと焦った。
アンドロマリウスの力を使い目指していた場所を変更してレイミヤを探した。
アランが見た光景は大きな池だった。
池を遠くから見てみると近くの川がその池に繋がっていることが分かった。
アランは池を見た瞬間レイミヤが溺れているのではないのかと思い急いで川を辿った。
「頼むレイミヤ無事でいてくれ。」
アランは思っていたことが口に出て池に向かって走っていた。
草をかき分けながら進んでいると池が見えてきた。
アランはようやく池に着いた。
池に着くとアランは飛び込み水の中を探した。
アランは水の中を探したがそれでも見つからなかった。
アランは池から上がり池の周りを探索した。
すると木の根元にレイミヤの服がたたまれて置いてあった。
「レイミヤー!!」
アランが服を手に取りレイミヤの名前を呼んだ。
「アランさん?」
すると近くでレイミヤの声が聞こえた。
アランは服を置き声のする方へと草を掻き分け進んだ。
「ア、アランさん。ちょ、ちょっと待ってください。」
アランの目の前の草が無くなるとそこには水浴びをしていたレイミヤの姿があった。
その姿はあまりにも美しかった。
水も滴るいい女とはまさに今のレイミヤにふさわしいと思えるほどだった。
髪まで水でぬれていて両手で体を隠していた。
隠した後は首まで水につかりアランに体が見えないようにした。
アランは慌てて後ろを向いた。
「ご、ごめん。お、起きたられ、レイミヤの姿がみ、見えなかったから。そ、そのご、ごめん。」
アランの言葉はたどたどしかった。
レイミヤもアランが着た方向に背を向けていた。
「こちらこそすいません。アランさんが寝ていたのでその間に体を洗おうとして。川を辿ったら池があったので。」
二人の空気は何とも言えないものになっていた。
「じゃ、じゃ一応近くにいるので何かあったら大声で呼んでください。」
そう言ってアランはその場を離れた。
アランとレイミヤは二人で焚火の有る場所まで戻った。
帰る道中二人は一言も話さず。
「アランさん。」
レイミヤが先に一言話した。
「は、はい。」
アランはレイミヤの顔を見ないで返事をした。
「先ほどのことは気にしないでください。元は私が黙って行動したことがいけないのですから。今回のことは水に流して忘れましょ、ね?」
レイミヤは少し顔を赤くしながらアランに言った。
「そんなこと急に言われたって無理だよ!!」
アランは顔を伏せながら心の中で大きな声で言った。
「そうですね、そうしましょう。」
心の中とは裏腹にアランは冷静だった。
アランはもう一度アンドロマリウスの千里眼を使い馬が見えた場所を目指した。
アランとレイミヤは二人目的地を目指し歩き始めたが、今回のことが起きるまではよく話していたが、口数が減っていた。
「そういえばセツの耳は普通の耳ではなかったけど何か知って事はある、レイミヤ?」
アランはレイミヤにセツのことについて聞いてみた。
「ええ確かに、あの軽やかな身のこなしにあの特徴的な尖った耳、私は本でしか見たことありませんが恐らくエルフ族のものだと思います。エルフ族は人前にはあまり現れず、エルフ独自の薬の調剤方を持っていると書いてました。そしてエルフは女性が多いいとも見ました。」
レイミヤはエルフの事をアランい話した。
「彼女は村を誰かに襲われたとも言っていたが、もしかして。」
「ええ、先ほど人前にはあまり現れないといった通り存在自体が貴重なので奴隷として捕まったりもするそうです。時にはその場で慰み者にもされたり、ただ楽しむためだけに殺されたり。」
レイミヤはとても暗い顔をしていた。
「ごめんレイミヤもういいよ。ありがとう。フラウロス、俺とセツの先頭には明らかな幅があったがそれはどうしてだ?」
アランは次に戦闘のことについてフラウロスに聞いた。
「それはお前が単に弱いだけだ。最もただ強くなるだけではあの女には勝てないだろうな。圧倒的な経験の差もあるだろうな。そして何よりバルナトスが厄介だ。あいつは少し先の未来が分かる力がある。時間にして1秒。たった1秒だが戦いにおいての1秒は命懸けだ。それにあの戦闘能力が加われば普通なら手も足も出ないだろうな。」
フラウロスは、バルバトスの能力についてアランに話した。
「未来予知に戦闘能力か。なかなか骨が折れそうな相手だな。でもなんで俺たちを見逃したんだろう?」
アランはセツが見逃したことを思い返していた。
「アランさん覚えていないのですか?ガザキエルという天使様が現れてセツを捕まえようとしたのです。それでセツさんはバルバトスと一緒に森の中へと逃げていったのです。ガザキエル様もセツさんを追って森の中へと消えていきました。」
アランはレイミヤの話を聞いてガザキエルという存在を初めて知った。
「悪魔が実在するなら天使もいて当然か、フラウロス達は知っていたのか?」
アランが聞くとハーゲンティが答えた。
「ええ、存じております。我々悪魔と天使は敵対関係なのです。それはもうずっと前から私たちの戦いは長く続いているのです。」
ハーゲンティからは悪魔と天使の関係を聞いた。
「本来の力ならあんな野郎どうとでもなったのに。」
フラウロスはガザキエルに相手にされていなかったことを根に持っているようだった。
「おい、小僧あの女に勝ちたいならなら、俺たちの力をもっと扱えるようになるんだな。お前は俺たち三人の力も使えるんだ。そしてもっと自信の魔力量も増やすんだな。魔力量が増えれば俺たちももっとできることが増える。いいか、とにかく戦え。戦って強くなれ。そして、魔法ももっと使え。魔力量の増やし方はいろいろだが最短で増やすなら魔力を使い続けるしかない。」
その声はアランを追い込んでいるようだった。
フラウロスはバルバトスにも負けガザキエルには無視をされかなり根に持っているようだった。
「おっと、ちょうどよさげな奴がこっちに向かってきているぞ。俺の力を使ってどうにかしてみるんだな。」
そうフラウロスが言うと一匹のチェルヴァが現れた。
チェルヴァの頭にはまるで剣が枝分かれしたかのような角が生えていた。
チェルヴァは首をかしげこちら観ていた。
「おい、フラウロスこんなかわいいのが相手なのかよ。ほら、何もしないからこっちへおいで。」
アランはチェルヴァに手を伸ばしながら近づいて行った。
「アランさん気を付けてください。」
レイミヤの顔はどんどん白くなっていった。
「何を言ってるんだよ。気を付けるって言ったて頭の角だけだろ?」
どんどん近づくアランをチェルヴァはただ見ていた。
口からは唾液を垂らして。
「アランさんチェルヴァは肉食なんです。」
レイミヤがそう言うとチェルヴァ鳴き角を右上から左下に振り下ろした。
アランは瞬時に手を引いたが指先が切れていた。
チェルヴァは右に左にジャンプしながらアランに迫った。
アランに近づくと角を振り斬りかかった。
「確かに戦うのは良いのかもしれないけどいきなりハードル高すぎだろ。」
そう言ってる最中でもチェルヴァは襲ってきていた。
アランはナイフを構え戦う準備をした。
チェルヴァがナイフを振る瞬間に合わせてナイフを当て攻撃を防いだ。
チェルヴァはそれでももう一度アランに向かってきた。
アランはもう一度ナイフでかわすとアランは後ろから蹴飛ばされた。
アランに攻撃を防がれたチェルヴァは去り際に後ろ脚でアランに蹴りを入れた。
蹴りはアランの横腹に当たりアランはけられたところを抑えた。
「かの者の傷を癒したまへトラッタメント。」
レイミヤはアランの傷を遠くから傷を癒した。
「すいません完璧にこれでは癒せないので気を付けてください。」
クルーラは触れれば完璧に治癒できるのだがトラッタメントは離れていても治療はできるが軽いちりょうしかできない。
チェルヴァは攻撃をしてきてはその場を離れるのので攻撃を防ぐと次の攻撃の時にはもうチェルヴァは攻撃の範囲外にいるためアランはチェルヴァを倒せないでいた。
「これじゃ、いつまでたっても埒が明かない。」
アランはずっとチェルヴァの攻撃を防ぎ後ろ足での攻撃を躱すしかなかった。
「だから、俺の力を使えといっただろう。お前も俺の力が使えるのだからな。そうすればあんなの一匹何ともない。」
アランはフラウロスに言われナイフを左手に持ち替え右手チェルヴァに向けた。
「フィアンマ!」
アランはフラウロスが使っていた魔法を唱えた。
すると出たのはとても弱弱しい炎だった。
それは炎というよりは火に近いものだった。
アランとレイミヤはフラウロスの炎を見たためその差を見て驚愕していた。
チェルヴァは飛んできたものをいともたやすく払いのけた。
「おい、フラウロスこれはいったい。」
アランはフラウロス聞いた。
「あー、お前魔力はあるけどまだまだ使い方がなってないな。練習あるのみ。ただそれだけだ。」
そう言ってフラウロスは喋らなくなった。
「そんなことないだろ。」
チェルヴァはアランにもう一度突進してきた。
「フィアンマ!フィアンマ!」
アランは魔法を連発した。
チェルヴァはそれを角で弾いたが一発が一本の角に炎が付いた。
それをアランは見逃さなかった。
しかし、見ているすきにチェルヴァはすぐそこまで来ていて防ごうとしたが間に合わず攻撃が当たってしまった。
「アランさん!!」
それを見たレイミヤが駆け付けようとした。
「来るな!!大丈夫、何とかなる。」
体に傷を負いながらもアランは立ち上がりチェルヴァに立ち向かった。
チェルヴァは今まで左右に移動しながら攻撃してきたが、アランから血が流れたのを確認するとアランに角を突き刺すように角の先をアランに向け、突進してきた。
それを見たアランは笑った。
「お前のおかげで分かったよ。炎が飛ばせないならこのナイフに付ければ良かったんだ。」
アランはチェルヴァではなく自分が持っているナイフを炎で燃やした。
ナイフは炎に包まれアランは向かってくるチェルヴァに斬りかかった。
アランの横をチェルヴァは通り過ぎたがチェルヴァの体には傷一つなかった。
アランはその場で崩れチェルヴァは大きな声で高らかに鳴いた。
すると、チェルヴァの角が地面に落ちた。
角を斬られたチェルヴァは怒り高く飛び前足から落下してアランに蹴りをくらわせようとした。
「角がなければ防げないだろ。」
そう言ってアランは向かってくるチェルヴァに右手を向けた。
「フィアンマ!!」
炎はチェルヴァに直撃して火だるまになりチェルヴァはアランに蹴りを当てることなく倒れた。
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