第25話フラウロスの力

「まあまあだな、今ナイフに炎を付与はできたけどそれが刀身が伸びた剣になると恐らくできないだろな。最も俺はそんなものがなくても炎で剣を作ることもできるぞ。」


チェルヴァの切れた角を見ながらフラウロスが言う。


アランは最後の最後にナイフに炎を宿すことができた。


だがしかし、その前にチェルヴァに斬られていた傷が響いて立っているのもやっとだった。


レイミヤはすぐさま駆け付け治療を始めた。


「かの者の傷をいやしたまへ、クルーラ。」


レイミヤはアランの切り傷を癒した。


「そういえば、なんで勝手に出てきてるんだよ。」


フラウロスはアランが召喚したわけでもなく勝手に姿を現していた。


「こいつの先祖にあたるのか?こいつと似たやつを昔一匹倒したことがあってな、そしたらそいつが偵察兵みたいなもので後からぞろぞろと仲間がやってきたんだよ。」


すると森の奥の方が騒がしくなっていた。


森の奥では砂煙が立ち木が倒れる音が聞こえてきた。


地面が揺れ現れたのは無数のチェルヴァだった。


「おいおい、一匹でもあんなに苦戦したのにこんな数じゃ太刀打ちできるわけがない。」


アランは目の前に現れたチェルヴァの数を見て絶望した。


「なんて顔してるんだよ、何のために俺が出てきたんだよ。いいか、今から俺がやることを見ておけよここまでできれば俺ももっと強くなれるからな。」


そういうとフラウロスは両手に炎を出し前に突き出した。


「フォッコインフェルナーノ!!」


フラウロスを中心とした半径1メートルの円を描いて炎が噴き出た。


フラウロスの後ろには突風が吹き、熱が後ろまで来た。


アランとレイミヤは片腕を前に持ってきた。


風が収まりチェルヴァの群れを見ると一直線に道ができていた。


道は道中の木々も燃やしていた。


炎の範囲にいたチェルヴァはどうやら骨も残さず燃え尽きていた。


炎に当たらなかったチェルヴァはフラウロスを見て震えていた。


アランは改めて実感した。


悪魔の力を。


「チッ、たったこれっぽっちしか威力がないのか。」


アランは自分の出した炎をみて落ち込んでいた。


どうやらまだまだ力を引き出せてはいないようだ。


「俺もこんなことができるのか?」


アランは目の前にまだチェルヴァがいるのに話し始めた。


「あん?まあ、俺と契約したからなこんなので満足するなよまだまだこんなの力の1割程度だ。」


ムッカの群れを燃やした後に森を数十メートルも燃やして力の一割?


アランはフラウロスの言葉を聞いて震えた。


「さてと、あとはどうしてやろうかな。」


フラウロスが目を光らせチェルヴァを睨むと、我先にと逃げだしチェルヴァの群れはいなくなった。


「つまらん奴らだ。」


フラウロスは舌打ちをして不満を漏らした。


辺りはオレンジ色に染まりもうすぐ日が落ちそうになっていた。


アラン達はアランが倒したチェルヴァを引きずりフラウロスが燃やした場所から離れた場所に火を起こした。


「アランさんチェルヴァは任してもいいですか?私お肉を捌いたことがないので。他の物は私がやりますのでお願いします。」


レイミヤはアランにチェルヴァの解体を任せた。


「なあ、ハーゲンティ解体方法とかわかる?」


アランはハーゲンティに解体方法が知っているか尋ねた。


「ええ、もちろん存じております。教えるのでその通りにお願いします。」


アラン自身も解体をするのは初めてだったがハーゲンティに教えてもらいながら解体に成功した。


食べられない部分は、地面に穴を掘り埋めた。


解体した肉をレイミヤに渡して料理をしてもらった。


「うわー、綺麗にさばけてますね。さすがです。」


レイミヤはアランから肉を受け取り調理をして料理を完成させた。


レイミヤが作った二人は交代で見張りをしながら朝を迎えた。


二人は身支度を済ませて目的地を目指した。


二人が目的地を目指しているとどこからか悲鳴が聞こえた。


二人は急いで悲鳴のする方へと走った。


悲鳴がしたところに駆けつけるとアランとレイミヤは一旦様子をうかがった。


悲鳴がしたところを見ると行商人が盗賊に襲われていた。


若い男の商人が二人の盗賊につかまりもう二人が荷物を物色していた。


中から盗賊が出てくると女性が一人腕をつかまれ荷台から降ろされていた。


「あなた!!助けて!!」


「頼む、荷物は好きにしてくれていいから妻だけには何もしないでくれ。」


男が盗賊に剣を向けられながらも妻の心配をしていた。


「こんなきれいな女をほっとっけっていうのが無理な話だな。」


「お前を殺した後荷物も女も俺たちが有効活用してやるよ。」


盗賊の一人が持っていた剣を振りかざして男を斬ろうとすると剣を振ろうとした頭に小石がぶつかった。


「お前らやめろ!!」


駆け付けても間に合わないと判断したアランが小石を投げて剣が下りるのを防いだ。


「なんだお前は!?」


4人の盗賊たちは1っか所に集まった。


「俺は通りすがりのただの旅人だ。」


そう言ってアランは盗賊たちの前に現れた。


「なんだただのガキじゃねえか。」


「オイガキ!!死にたくなければとっとと消えな。」


盗賊たちはアランを見ても余裕そうな態度を取った。


「ソロモン72柱の悪魔のうちの一人、疑獄の伯爵アンドロマリウスよ、我が名の元に汝に命じる我が召喚に応じ、今ここに顕現せよ。」


アランは盗賊たちの前にアンドロマリウスのを召喚した。


「な、なんだこの蛇の化け物は!」


「こいつまさか召喚士なのか?!」


盗賊たちはアンドロマリウスを見て驚いた。


「坊主こいつらは?」


「マリウス俺と協力してこいつらを捕まえてくれ。」


アンドロマリウスは蛇の腕をだ戦闘態勢に入った。


「私ができるのは三人まで、あとの一人は坊主に任せるぞ。」


そういうとアンドロマリウスは盗賊たちの間に無理やり入り3人と1人に分けた。


アランはナイフを取り出しアンドロマリウスの背中に立ち盗賊とにらみ合った。


「お前を人質にしてこの場を切り抜けてやる。」


盗賊は剣を構えた。


デェヤーー!!


盗賊は大きく剣を振り上げアランに襲い掛かったがアランはチェルヴァ戦で身に着けたことを生かしてナイフに炎を付与した。


アランは落ち着いて対処して盗賊の剣を溶かして二つに分けた。


盗賊は溶けた剣を投げ捨てた。


「オ、お前召喚だけじゃなく魔法も使えるのか?」


盗賊が後ろに下がるとアランは詰め寄り足をかけ転ばした。


「抵抗はよせ、抵抗すればお前を殺す。」


アランは盗賊を縄で縛りつけた。


「坊主もやるようになってきたな。」


アンドロマリウスはアランが戦いを始めた瞬間に蛇の手を伸ばして3人に麻痺毒で体の自由を奪っていた。


アランはアンドロマリウスがしびれさせた盗賊も縄で縛りあげた。


「あ、あの。」


襲われていた夫婦がアランの元にやってきた。


「助けていただきありがとうございます。」


夫婦の夫は怪我をしていて妻の肩を借りて立っていた。


「ちょっと待っていてください。」


アランはアンドロマリウスを夫婦の前に残してレイミヤを呼びに向かった。


夫婦はアンドロマリウスを見て愛想笑いをした。


アンドロマリウスはそれを見て軽く頭を下げた。


「お待たせしました。レイミヤ彼が怪我しているんだ直してくれないか?」


「ええ、もちろん。かの者の傷を癒したまへ、クルーラ。」


レイミヤは夫婦の軽い擦り傷も治した。


夫婦は傷が治っていくのを見て驚いていた。


「助けていただいただけではなく、傷の手当まで本当にありがとうございます。実はこれからオンバスという国に帰るところだったのです。その途中に盗賊に襲われてしまい。」


夫婦は事の経緯をアラン達に説明した。


「見たところ行商人のようですが護衛はつけなかったのですか?」


アランが聞くと夫婦の顔は暗くなった。


「実は数年前からオンバスの国には武力といったものがほとんどなくなってしまったのです。


王が反逆を防ぐためにしたのだと聞いています。」


「そうだったのですか。ところでそのオンバスの国の門に走る馬のシンボルはありますか?」


アランは目的地の千里眼で見えた門の特徴を聞いた。


「ええ確かにわが国の国璽で門にもそれは刻まれています。」


夫婦が帰ろうとしているオンバスがアランとレイミヤが目指していた目的地の国だった。


「もしよかったら、俺たちをやってくれませんか?報酬はオンバスに連れていくということで。」


「本当ですか!?それは助かります。こんな強い方が護衛なんて私たちも安心します。」


アランとレイミヤは夫婦の行商人の馬車の護衛として同情してしてオンバスを目指した。


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