第21話空から現れた使者
「八代天使ガザキエルよ、今すぐ彼女を捕らえなさい。難しいようなら最悪その場で殺しても構いません。」
「主様、あれは殺して構わないのですか?」
ハーゲンティがアランに戦い方を聞いてきた。
「いいや、殺すな。」
「何をこそこそ話しているの?
セツはダガーを構えていつでも戦える姿勢を取った。
「あの女がお前の主か、この武器もお前の入れ知恵か?」
フラウロスは溶けなかった武器をバルバトスに見せた。
「ああ、対炎対策にな。」
「そうか、じゃあ始めようか。」
フラウロスは、開戦の合図のように大きな炎をバルバトス向かって放った。
「インフェルノ・フィアンマ」
「あっちも始まったことだしこっちも始めましょう、か!!」
セツは真っすぐアランに向かって突撃してきた。
「真っ向勝負なら負ける気がしませんね。」
ハーゲンティは牡牛の姿に変えセツとに向かって突進した。
セツのダガーとハーゲンティの角が大きな音を立ててぶつかった。
ハーゲンティは何もなかったがセツは反動で体制を崩した。
アランはそのすきを逃さずセツを取り押さえた。
「確かに俺の友人にはハーゲンティが乗り移ったがあれは俺じゃなくフラウロスがしたことだ。俺じゃない。」
アランはセツの体を抑えながら説得しようと試みた。
「そんなわけない、それもあなたが仕組んだことでしょ。」
セツはアランの拘束を振りほどいた。
「主様、説得は無意味です。どうしても捕獲ですか?」
ハーゲンティはアランの行動を召喚する前から見ていた。
「ああ、彼女は誤解しているだけだ。そして、彼女も悪魔で悲しんでいる。俺は彼女を助けたい。」
ハーゲンティはアランの硬い意志にお手上げだった。
「なあ、セツといったか?俺と一緒に来ないか?」
アランは突然セツを誘った。
「何を言うかと思えばいきなり何言ってるの?」
「いきなりそんな大技を使うとは、お前は変わらないな。」
バルバトスはフラウロスの攻撃を躱して矢を三本同時に射った。
三本の矢は軌道を変え三方向からフラウロスに迫った。
「フィアンマ・ムーロ」
フラウロスは炎の壁を作り矢を防いだ。
フラウロスが炎の壁を消すとバルバトスが目の前まで来ていた。
バルバトスは懐にあったナイフを出しフラウロスに斬りかかった。
ナイフはフラウロスの腹に横一筋の傷ができた。
すかさずフラウロスはバルバトスに炎を放ちバルバトスを下がらせた。
「貴様、よくも傷を。だがこんなかすり傷じゃ意味がないぞ。」
バルバトスはフラウロスに一太刀浴びせたがそれは致命傷にはならないほど浅い一撃だった。
フラウロスは両手に炎球を作り出し次々とバルバトスに向かって放った。
だがバルバトスは軽々とその攻撃を避けた。
避けてはフラウロスに近づき浅い一撃をくらわしていた。
「だから、何度もそんな攻撃で俺は倒せな・・・。」
フラウロスは片膝をついて倒れた。
「貴様いったい何をした?」
バルバトスは刃についた血を振り地面に垂らした。
「別に何も、ただ切っただけだ。お前が今なっているのは貧血と呼ばれるものだ。浅い一撃でも血は流れていた。それでもしっかり止血するべきだったな。お前の怠慢が仇になったな。」
フラウロスは息がどんどん荒くなっていた。
バルバトスはフラウロスにとどめを刺そうと近づいたが何かに感づいてセツの元へと急いで向かった。
「俺は、君が探している張本人じゃない。俺は悪魔を収集して封印するために悪魔を集めているんだ。
レイミヤに悪魔を渡したのは悪魔で護身用のためだ。決して彼女に人を襲わせたりしない。それに、彼女も悪魔でひどい目にあっているんだ。俺だって悪魔に家族を殺された。だから、こんな戦いなんかやめて一緒に君の家族を殺した犯人を捜さないか?」
アランはセツに手を指し伸ばした。
セツはアランの行動を見て武器を下ろして近づいてきた。
セツも手を伸ばしてた。
アランはセツの行動を見て安心した瞬間
「そんなこと信じられない。」
セツはアランの顔に回し蹴りをした。
アランは口から血を流し数メートル飛んだ。
「私はあなたのことが信じられない。」
吹き飛んだアランは眩暈が起きていた。
アランの元へとセツがじわじわと近づいて行った。
「アランさん!起きてくださいアランさん!」
レイミヤはアランに駆け寄っていこうとしたがアンドロマリウスがそれを止めていた。
「娘よ、よせ貴様が行ったところで娘が死ぬだけだ。私も行きたいが主が貴様を守れといった。もし仮に私が助けに行ったときにあの女が遠距離攻撃で娘を攻撃したら私は娘を守れる保証がない。ハーゲンティが何とかしてくれる。」
レイミヤの頬には涙が垂れていた。
「貴様よくも!主様を!!」
ハーゲンティは怒りに身を任せセツに向かって突進をした。
二度目の攻撃にセツはハーゲンティの攻撃を躱し横腹にナイフを当て突き刺した。
ハーゲンティは痛みで身を崩して倒れた。
出血量はひどくハーゲンティは人間の姿になった。
人間の姿になると傷口を抑えて止血をした。
「坊主、私も加勢するが構わんな!?」
アンドロマリウスはハーゲンティがやられた瞬間アランに許可を求めた。
「だめだ、レイミヤを守っていろ。」
アランはふらふらになりながらも立ち上がりアンドロマリウスを止めた。
セツはアランの元に近づいてきた。
すると空から無数の光がセツに向かって降り注いだ。
「サントピオッジャ!!」
セツは空を見上げるとあまりの眩しさに目をつぶり動けなかった。
「セツ―!!」
バルバトスはセツを助けようと急いで向かっていたが間に合いそうになかった。
アランが走りセツに飛びつき光を避けた。
アランが下になりセツのクッションになった。
「なんで私を助けるの?」
アランは体の痛みでセツの質問には答えられなかった。
「我は八代天使の一人ガザキエル。バルバトスの主よ我が主の命に従い実力を行使する。」
ガザキエルは六枚の翼をはばたかせ、白く輝く鎧を身にまとい、右手には槍左手には大きく細長い盾を持っていた。
「セツ一旦ここは逃げるぞ。あれは、天使の中の上位八人のうちの一人だ。今のままでは、あいつには勝てない。」
そういうとバルバトスはセツを持ち上げると森の方へと向かって姿を消した。
「そこの無数の悪魔の主よ貴様は今回命令がないから見逃すが命令があれば貴様にも実力を行使するからな。」
そういうと、ガザキエルはバルバトスが逃げた方向に向かって飛んで行った。
ガザキエルが乱入したもののフラウロスはバルバトスに攻撃が当たらず行動不能にされ、アラン、ハーゲンティはセツに数で有利だったものの致命傷すら与えられなかった。
アンドロマリウス、レイミヤはただ仲間がやられていくのを見ているだけだった。
アラン達は初めて惨敗した。
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