第12話悪魔のいる町
「ロマリス、何かあるってまさか。」
アランは、生唾を飲みアンドロマリウスに恐る恐る聞いてみると。
「そのまさかだ、悪魔が憑いてるかもな。」
アランは、本当に悪魔なのか確認するため千里眼を頼りに見えた今日を目指して歩を進めた。
「それにしても、千里眼て便利だな。うまく使えば、何かを追うのにも使えそうだな。」
アランは、千里眼の他の使い方を考えながら次の街を目指していた。
「坊主、気に入ってもらえて何よりだ。」
姿は見えなくても、鼻を高くしているのが想像できた。
暗くなってようやく目指していた町の城壁が見えた。
その町は、等間隔に見張り台があり見張り人が一人ではなく二人いるのが見え壁お外を見ているのではなく町の中を見ているのが見えた。
見張り人は厳重に町の中を見張っていた。
「あの町何かありそうだな。」
ただならぬ様子を見たアランは自分の中で悪魔がいるという確信が高まった。
門の近くまで行くと門番をしている兵士がこちらに気づいて、町に入り仲間を呼んできた。
どんどん近づくと集まった兵士たちは槍をこちらに向ける者、腰に手を回して今にも剣を抜きそうな者がいた。
一人のアランになぜそこまでするのかわからなかったが、アランは町に入るために近づいた。
門番まで約十メートルのところで、一人が大きな声を出した。
「そこの者、止まれ。手をこちらに見えるようにしながら歩いてこい。もし怪しい行動をしたら攻撃を開始する。」
アランは門番の言われるがまま、近づいて行った。
「よし、身体検査のため荷物をこちらに渡してもらおう。一応荷物も確認するからな。」
アランは、旅の荷物やハーゲンティの居る本が入ったカバンを渡した。
「荷物異常なし。」
門番の一人が言った。
「貴様、この右手の物は何だ?」
門番がアランの右手にある宝玉について尋ねてきた。
アランは解答に困っていた。
この宝玉に悪魔がいると言えば、信じないかもしれないがもし信じたら何をされるかわからなかった。
頭を悩ませながら考えた答えが
「俺の村の風習で、埋め込まれているただの石だ。」
とっさに考えた答えがこれだった。
「どこの村だ?」
門番が追い打ちをかけるようにすぐまた質問してきた。
アランの故郷の街が知られている可能性があるため、存在しないであろう村の名前を言った。
「ホッチャビ村だ。」
そうアランが言うと、検査をしていない兵士がクスクスと笑っていた。
それに気づいたアランは、赤くなった顔を隠すように顔を少し下げた。
「そうか、なら問題ない。通ってよし。」
笑いをこらえていた兵士がそう言うと門がゆっくりと開き始めた。
門が開くとそこには千里眼で観た教会まで続く一本の道が続いていた。
夜中に町に着いたのもあったのか家の光は少なくランタンの街灯が等間隔に並んでいた。
検査をした門番の一人がこちらに駆け寄ってきた。
「言い忘れていたが、今この町には悪魔がいる。」
それを聞いたアランは、顔を険しくさせて門番につかみかかった。
「どんな悪魔だ!?いったいどこにいるんだ!?」
アランが兵士につかみかかった様子を見ていた兵士たちが駆け寄り、アランと兵士を離した。
「落ち着け小僧、悪魔といってもそう言われているだけでただの人間だよ。老若男女問わずに人を襲っているんだ。襲われた人間は様々な方法で襲われているんだ、でも一つだけ襲われた人には必ず弓のしるしが引っ搔き傷のように掘られているんだよ。まるで悪魔の所業みたいだろ?だから悪魔って言われているんだよ。それで、そいつを捕まえるために今兵士が厳重にこの町を見張っているんだ。」
それを聞いたアランは、落ち着きつかんだ兵士に謝った。
「悪魔と聞いたものでつい、申し訳ございませんでした。」
つかまれた兵士は
「大丈夫だよ、気にしないで。」
下げたアランの頭を上げるように言った。
「まあ、そういうことだから気を付けるんだよ。」
そのあとアランは、兵士に泊まれる宿を聞いて兵士と別れた。
兵士に聞いた宿を目指していると、フラウロスが怒りながら話しかけてきた。
「お前、俺様のことをなんて言った!?ただの石だと!?ふざけるなよ、俺は公爵だぞ!!」
アランは、フラウロスが言っていることを一切聞かないで歩いていた。
「おい、聞いているのか小こぞ・・!!」
―キャーー!!―
フラウロスの声を遮るように、静まっていた町に大きな悲鳴が響いた。
アランは、悲鳴の方へと走った。
「ソロモン72柱の悪魔のうちの一人、地獄の侯爵フラウロスよ、我が名の元に汝に命じる我が召喚に応じ、今ここに顕現せよ。」
アランは、走りながら右手を前に出しフラウロスを召喚する呪文を唱えた。
右手の前に魔法陣が表れ豹の姿をしたフラウロスが現れた。
「フラウロス、人の姿に変身しろ。」
アランが隣を走るフラウロスに命じた。
「人の話は聞かないくせに、お前の話すことは聞けっていうのかよ。」
そう言いながら、豹の姿をしたフラウロスの体が炎に包まれ次の瞬間に人の姿に変わった。
悲鳴がしたところに付くと倒れている男性と暗くてよく見えないが腕が二本以上ある黒いマントを被ったものが去っていくのが見えた。
「燃え尽きろ!!」
フラウロスのが両方の手に魔法陣を浮かばせ今にも炎を放とうとした。
「やめろ、フラウロス。あの男性が燃えるだろ!」
フラウロスがアランのいうことに従い、舌打ちをしながら、魔法陣を消し両方の手を下した。
マントを被った者が逃げてしまったがアランはすかさず倒れている男性に近づいた。
「おい、大丈夫か?」
倒れている男性はかろうじて息をしていた。
フラウロスは宝玉の中へと戻っていった。
アランが応急手当をしようとしていると、兵士たちが駆け寄ってきた。
「お前が一連の犯人だな。おとなしくしろ!!」
集まった兵士がアランに向かって剣を抜いた。
「違う俺じゃない、犯人はあっちに逃げていった。」
アランがマントを被った者が逃げた方向を指さすが
「嘘をつくな!!」
兵士がアランの言うことを聞かないでアランの体を抑えようとした瞬間。
「ちょっと待ってくれ、そいつは違う。」
そういったのは、アランがつかみかかった兵士だった。
周りの兵士が、動きを止めた。
「本当なのか、ダン?」
「ああ、そいつはさっき町に来た旅人だ。信じてくれ。」
半信半疑のままアランは兵士から解放された。
「改めて、俺の名前はダン、よろしくな。それにしても災難だったな。町に着てすぐ捕まるなんてな。ハッハッハ。」
アランとダンは互いに自己紹介をした。
「これからブラウン亭の宿に行くんだろ?なら、俺が案内してやるよ。」
ダンは、門に戻る前にアランを宿へと案内した。
「ありがとう、だけどさっきの男性は大丈夫なのか?」
アランは襲われた男性についてダンに聞いた。
「ああ、それなら俺の仲間が教会に運んでくれてるよ。この町には凄腕の聖女がいてな。その人にかかればどんな傷だって、次の日の朝には治っちまうんだ。どうだ、凄いだろ。それに、ものすごく美人なんだぜ。」
ダンはあたかも自分の世に自慢げに話した。聞いてもいないことまで。
「もし怪我したら、俺も行ってみようかな。」
アランがそう言うと
「それにしても、また男性か」
ダンがそうつぶやいた。
教会の扉がノックされ開いた。
「失礼します。レイミヤ様また人が襲われました。どうか、神のご加護をお願いします。」
男性を運んできた兵士がそう言うと。
「分かりました、では奥に運んでください。あとは私一人で大丈夫です。」
杖を突きながら、レイミヤは一足先に奥へと進んだ。
「レイミヤ様、いつもお一人ですけど大丈夫ですか?」
レイミヤは布を目に巻いていた。
レイミヤは目が見えていないのだ。
それを心配した兵士が聞いた。
「ええ、大丈夫です。それに私は一人ではありませんから。」
そういうと、一回舌なめずりをした。
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