第11話こちらを見るもの
「さて坊主、ジャックとの契約を解除した今次はお前との契約をしなくてはな。
契約内容としては、私からは私を連れていくこと、坊主の命令には必ず従うこと。
この内容ならいかがかな?」
アランとアンドロマリウスはお互いの契約を結ぶべく内容を確認していた。
アンドロマリウスから出された内容はアランには何もデメリットは無かった。
「ロマリスが、それでいいなら俺は大丈夫だ。」
アランは迷うことなくアンドロマリウスの契約を承認した。
「契約成立だな。」
こうして、アンドロマリウスとの契約が成立した。
アンドロマリウスとの契約が終わった後、アランはアンドロマリウスの宿るネックレスを首にかけた。
「そういえば坊主、道に迷っていたと言っていたな。森の外まで私が案内してやろう。」
アランは、アンドロマリウスも召喚して、アンドロマリウスを先頭に後ろにはアラン、ハーゲンティ、フラウロスの四人で森の外を目指していた。
アンドロマリウスは森を守っていたためこの森のことは詳しかったようだ。
アンドロマリウスに案内してもらっているときにこの森の名前が「蛇人の森」というのも聞いた。
森の出口が見えてくるとアランはふらふらと歩いていた。
アランが森の外に出ると、ばたりと倒れてしまった。
アランは、自分がなぜ倒れたのかわからなかった薄れゆく意識の中、アンドロマリウスとハーゲンティが駆け寄り声をかけていたが、フラウロスは、アランに背を向けて森の方を見ていた。
「あの男、やっと町を出たかと思えば森に迷うしそれにアンドロマリウスまで手に入れるなんて。
一体何が目的なのよ。」
アラン達をハーゲンティの戦いの時から見張っていたのはローブを被った女性で耳が尖り、髪が銀色になびいていた。
アランの動向を見ていたのはほかにもいた。
「天使長様、ご報告があります。」
レースをしていて顔が見えない金髪の女性が声をかけた。
その場所は白く輝く教会のような場所で、女神と思わしき姿が描かれたステンドグラスに向かい両手を組み、片膝をつき、頭を下げながら祈る西洋の鎧を着たものがいた。
声を掛けられた者が祈りをやめ六枚の翼を広げ振り返った。
「王よ、急ぎ伝えることが。」
玉座まで数メートルある道を走ってくる騎士がいた。
その騎士は走っている途中で頭と体が分かれ死亡した。
「下らぬことを伝えに来るではないわ、愚か者が。」
口元が少しにやけていた。
アランは目が覚めると、星空が広がっていた。
起き上がり周りを見ると
「おや、目が覚めましたか。主様。」
そこにはハーゲンティしかいなかった。
なにがあったのか、ハーゲンティに聞くと突然アランが倒れたと聞いた。
そのまま、丸一日眠っていたそうだ。
焚火はフラウロスが、木の実はアンドロマリウスが準備してくれたようだ。
姿が見えない二人を聞くと、フラウロスは火を点けた後すぐに宝玉へと戻っていき。
アンドロマリウスは、木の実をとってきた後心配しながらもネックレスに戻っていったという。
ハーゲンティは持っている知識を使ってアランを介護してくれたようだ。
「なんで俺は倒れたんだ?」
アランはハーゲンティに聞くと。
「魔力の急な消耗のせいですね。」
そう答えた。
「私達悪魔を三人も同時に召喚していたためだと思います。主様の魔力量の確認を怠っていました。
主様の魔力は普通の人間よりも多いのですが、さすがに三体の悪魔の同時召喚は魔力の消耗が激しかったようです。一人でしたら何も問題はありませんので存分にお使いください。」
ハーゲンティの話が終わるとアンドロマリウスが採ってきた木の実を渡してきた。
「それを食べたら、また休んでくださいね。」
そうすれば、魔力もだいぶ回復しますから明日には問題なくなりますよ。」
木の実を食べたらアランは、眠りについた。
木漏れ日がアランの顔を照らしてアランは目を覚ました。
「お目覚めになったようなので私はこれで。」
そういうと、ハーゲンティは本の中へと戻っていった。
アランは、荷物を持って森の外を出るとネックレスから声が聞こえてきた。
「坊主、次の目的地なんだが私の力を使ってみてはどうかな?」
アンドロマリウスが自分の力の使用を提案してきた。
「ロマリスの力っていったい?」
アランはアンドロマリウスに力のことを尋ねる。
「私の力は千里眼だ。遠くの人遠くの物を見ることができる。物を探すことも、悪魔も例外ではないぞ。一度見たものは次に別の物を見るまでは、場所が分かることができる。使い方は、探したいものを思い浮かべながら目に魔力を集める。ハーゲンティから言われた通りできる限り簡単に言ったつもりだがわかったか?」
後にアランとハーゲンティは何かを話し合ったという。
アランは、アンドロマリウスに言われた通りに頭の中で町を思い浮かべながら目に魔力を集中させるとアランの左目が蛇のような目に変わった。
アランの目には右目は森が移っているのに左目は別のものが見えていた。
左目に映っているのは町の中心にある大きく古い教会が見えた。目を凝らすと中が見えた。
中には神に祈りをささげている聖女が見えた。その聖女を近くで見ようとするとこちらを見つめ返してきた。
まるで、こちらが見えているかのように。
「ロマリス、千里眼で人を見ているときに見れれている人もこちらに気づけるのか?」
千里眼をやめ、目が通常に戻ったアランがアンドロマリウスに聞いた。
「いいや普通の人間ならこちらに気づくことはないはずなんだ。もし本当にこちらを見たとするならば、その人間何かあるぞ。」
アンドロマリウスは深刻そうにアランに告げた。
「ねえ、エル?誰が私たちを見ていたの?」
「大丈夫よレイミヤ、あなたは私が守る。私があなたの目ですから。」
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