第7話決着
「契約内容は、俺の言うことに従うこと。見返りは、目的が終わったら俺の体をくれてやる!!」
そういうと、アランを中心に円状の魔法陣が広がった。
「お前に従うのは癪だが、体が手に入るならその契約で了承してやる。」
魔法陣から炎が上がり、豹の形へと変わっていく。
その豹は顔だけで、アランの後ろで口を大きく開く。
豹はアランを丸のみにすると、アランの周りに炎が集まり、炎はアランの体に入っていった。
「契約完了。」
アランとフラウロスは同時にそう言った。
「貴様も悪魔と契約したというのか。」
ハーゲンティは、動揺していた
「ソロモン72柱の悪魔のうちの一人、地獄の侯爵フラウロスよ、我が名の元に汝に命じる我が召喚に応じ、今ここに顕現せよ。」
召喚の呪文を唱えると、アランの目の前に前回召喚したときに現れた魔法陣とは別の魔法陣が表れた。
炎が空に向かって噴きあがり、炎が収まるとそこには豹の姿をした、フラウロスが表れた。
前回召喚した時とはフラウロス雰囲気が変わっていた。
「バ、馬鹿な。フラウロスだと。あのお方がなぜこんなところに。」
ハーゲンティは、フラウロスの名を聞いて後ずさりをした。
「だがしかし、あいつはまだ人の体を手に入れていない人の体を手に入れていない悪魔など襲るるに足ら ず。」
ハーゲンティは、下がっていた足を前へと出しフラウロスに歩を進めた。
「覚悟しろフラウロス!!お前を倒し、お前の持つ階級を手に入れてやる。そして、お前に力も私が有効活用し・・グハッ!!」
ハーゲンティは、フラウロスに向かって突進を仕掛けている中、フラウロスはハーゲンティの背中に炎の爪で五本の爪痕を残した。
「お前、うるさい。」
フラウロスは爪痕を残した後アランの前へと戻っていった。
「馬鹿な、人間の体を手に入れていないのに姿を見ることができなかっただと。」
ハーゲンティは、口から血を垂らし口に溜まった血を地面に吐いた。
「フラウロス、あいつを殺さずに押さえつけろ。」
アランは、ロンの体を持つハーゲンティを取り外すためフラウロスにハーゲンティを抑えるように命令した。
「ちっ、わかりましたよご主人・さ・ま!!」
フラウロスは、再びハーゲンティの背後に周りハーゲンティを押さえつけようとするが、
ギリギリのところでかわして飛び上がるハーゲンティ。
「どうする、今の攻撃だってなんとかかわせたが最初の攻撃が思ったより深い。どうすればこの状況を切り抜けられる?!最悪だ、フラウロスが表れなければこんなことには。」
爪を噛みながら、考えるハーゲンティは一つの案を思い出しすぐさま行動に移した。
「フラウロスの契約者よ、これ以上私に何かしてみろ、さもなければこの体の魂を今にでも食べつくしてやる!!」
ハーゲンティはロンの魂を人質に取りアランに攻撃をやめるように言った。
「・・・っ!!」
アランはハーゲンティの出した条件を信じられなかったが、もし本当だったらと考えるとフラウロスを戻すしかなかった。
「フラウロス一回帰ってこい。」
アランがそう言うと、フラウロスは不満そうな顔をしながらその体を豹から炎に変え、アランの右手にある宝玉へと戻っていった。
飛んでいたハーゲンティが、フラウロスが戻っていくのを確認すると地上に降りてきた。
「そうだ、怪しい動きをしたらすぐにでも小僧の魂を食ってやるからな。」
ハーゲンティ、ゆっくりアランに近づいてきた。
「所詮貴様も、フラウロスさえいなければただの小僧よ。今からお前の首を絞め、フラウロスの宝玉を手に入れてやる。そのあとに、貴様の苦しむ顔を見ながらゆっくり絞め殺してやる。」
そう言いながら、近寄ってくるハーゲンティの顔は勝利を確信していた。
アランの首を絞めるために、首に手を回そうとするハーゲンティの顔にはゲスの笑みを浮かべていた。
「これでお前はおしまいだ。
ハーゲンティの手がアランの首に振れる瞬間。
「今だ、フラウロス!!」
そういうと黒煙が出ているところから、いきなり炎が立ち上りフラウロスが現れた。
「馬鹿な!!」
飛び掛かってくるフラウロスに反応するハーゲンティだが、振り向いたときにはもうすぐ目の前まで来ていた。
フラウロスはハーゲンティを横に倒し、身動きができないように体を抑えた。
倒れたハーゲンティのところに近づいてくるアラン。
「私に一体何をするつもりだ貴様。それ以上近づいてくるなー!!」
アランはハーゲンティの体の横でかがむとハーゲンティの持っていた本を取り上げた。
本を取り上げるとアランはハーゲンティに向かって、
「お前、俺と契約しろ。ロンの体をもとに戻してこの本に戻ってこい。そうしたらお前の命だけは助けてやる。」
と、ハーゲンティに契約内容を告げた。
「ふざけるな!!やっと手に入れた体だぞ、誰がまた本なんかに戻らなければならないんだ!!」
そう簡単に、ハーゲンティは契約を飲むわけもなかった。
「フラウロスこいつを殺せ。」
アランは、ハーゲンティが入っているロンの体を殺すようにフラウロスに言った。
「いいんだな、小僧。」
フラウロスはアランに聞き直す。
「ああ、しょうがない。やれ。」
そういうと、フラウロスは押さえつけていた手を上げ爪をハーゲンティに向けた。
「貴様、自分が何を言っているのか分かっているのか?!」
ハーゲンティは振り上げられたフラウロスの爪を見て焦っていた。
アランは、ただハーゲンティだけを見つめて黙っていた。顔色一つ変えずに。
「よせ、わたしはこんなところで死んでいいわけがないのだ。」
フラウロスは、ハーゲンティが怯え、焦っている顔を見てにやけていた。
フラウロスが爪を振り下ろして爪の先端が当たった瞬間
「わかった!!」
爪の先端が顔にあたり血がジワリと流れた。
「お前と契約する。だから、殺さないでくれ。」
ハーゲンティはアランが提示した内容に承諾した。
フラウロスがハーゲンティの体から離れると、ハーゲンティは起き上がった。
「契約・・・解除」
ハーゲンティは、歯をきしませ悔しそうな顔をしながらロンと契約した内容を解除した。
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