第10話精神病院

彼は警察に保護されました。

気づいたら見知らぬ場所にいて、精神病院に入れられていました。

「君は何をしていたか覚えているかな?」

「すいません。覚えていません」

微かに覚えていたのはミキと遠くに行こうとした事と悪魔との会話だけでした。

彼が自我を取り戻したのは入院して少し経った頃です。

そこにはいろんな患者がいて、今までのことはすべて病気だったんじゃないか。と、思うほどでした。

でも。

「ミキと話した時間だけは」

どうしても信じたかった。

彼はいつもそう思っていました。

もしそれを失ってしまったら。

それが嘘だと思ってしまったら。

_____耐えられないんだと思う。

「あの約束だけは、大切なことだから」

彼は悪魔に毎晩攻撃されました。寝る時間もありません。周りには病気だと言われます。

「負けるものか。それだけが希望なんだ。」

そう言って彼は攻撃してくる悪魔を諭し倒し続けました。

わたしは悲しかった。それだけが救いなんてありえない。

普通の人間の望みなんかじゃない。

彼はそうして、2か月も隔離病棟に閉じ込められました。

わたしは、見ている事しか・・・できなかった。






運命が動き出すのはもう少しあとの話。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る