第7話絶望

彼女が居なくなった後、俺は愛を知った。

散々泣きはらしたあと、心が幸せに満ちる感覚に襲われた。

悟りって言葉を聞いたことがある。

神の愛を知ると心が愛に満たされるらしい。

「俺は幸せ者だな」

でも、なんか変だった。どんどん心、と定義される部分が消失していく感覚。

「・・・だめだ」

抗わなければ、何かを失う。

「彼女との思い出も、俺がこの世界でまだやるべきことも失うわけにはいけない」

生きなければ、と思った。

悔いがある。嘘をついたり、見栄をはったり、迷惑をかけた人へ何も果たせていない。

わたしは祈っていた。

彼を助けてあげて!

「助けてあげますよ」

神の手が気まぐれに彼の心を救った。







気づいたら悪魔のわたしは神の世界にいた。

「あなたは何を望みますか?」

「彼の魂」

悪魔らしくはないけれど、それがわたしの望みだから。

わたしは彼のもとに帰った。

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