22食目、赤薔薇隊隊長とイチャイチャする

 カズトが買ってあげた服をユニが着てる間、カズトは扉の外で待っている。

 その間、部屋の中から微かにガシャンガシャンと音がする。

 音から察するにビキニアーマーを脱いだのだろう。

 この扉の向こうには、全裸のユニがいる。薔薇隊の隊長とは思えない程の無防備だと思うのは俺だけだろうか。

 そう思ってると収まったはずのドキドキが再発するが、ほんの数秒後に扉が開く。


「ほら、着てやったぞ。部屋に入るが良い」


 衣類が二着しか無かった分、思ったよりも着るのが早かったらしい。

 キャミ姿のユニは長身のせいか、キャミの丈が短く見え腹が見事に出ている。

 でも、まぁ元々ビキニアーマーを着用していたし問題にはならないだろう。

 ていうか、超似合ってる。カズトにとって眼福の何物でもない。


「どうだ、私が言った通り似合わないだろ?」

「えっ?そんな事ないですよ。俺の計画通りに似合ってますし、それに可愛いです(正確には、格好可愛いと表現した方が良いか)」

「な、ななななな!私の何処が可愛いと言うのだ!」


 騎士一筋として生きてきたユニは、結婚とか可愛いとか女らしいとか言われ慣れてない。

 そんな言葉から無縁な生活を送り、戦闘が恋人と断言する程の戦闘バカである。


「えぇぇぇぇぇ!可愛いじゃないですか。隊長と付き合う男性は幸せ者です」

「か、からかってるのだろう。そうだ、そうに違いない」


 今まで、二つ名とその名に恥じぬ強さで男が近寄って来なかったとカズトは推測する。

 つまり、同じ強さかそれ以上の強さが相手にあれば、安心してユニは恋人又はその先へと一緒に歩めるのではとカズトは思ってる。否、出来ると確信してる。


「う~ん、どうすれば信じて貰えますかね」

「口先ではなく、行動で示せば良かろ」


 ごもっともです。さてと、行動で示すって言ってもどうやるかな。キスとか抱き締めるとか………それ今やったら確実に殺されるな。


「それなら、これはどうだ?」



 ヨーシヨーシとユニの頭を撫でる。思ったよりも効果抜群で、今日一番顔を始めとした体全体が、これでもかって位に赤く瞬間沸騰してる。

 表情は下を向いて良く見えないが、俺の勘で嬉しそうに微笑んでるに違いない。


(ふにゃぁ!何なのこれは!?嬉しくて………しかも、恥ずかしくて勇者殿の顔をまともに見れない)


 ユニの感情はカズトには届かず、それに加えカズトはだんだんと撫でる事がクセになっていき数分間休まず撫で続けていた。

 撫で終わった後、ユニはカズトに表面上は憤慨した。心の内では、また撫でてくれないかな………と正反対の事を考えている。


「勇者殿は何を考えてるのですか!あんなに私を辱しめて楽しいですか!」

「可愛かったから………つい………やり過ぎたと俺も反省してる。すまなかった」


 カズトは日本人らしく自分の過ちを素直に認め、ほぼ90°頭を下げた。ユニは見た事あるから大丈夫だが、カズトのように頭を下げて謝る事は異世界アグトの世界全国から見ても珍しい。なので、普通は謝られた方がタジタジになるのである。


「いや、私も頭に血がのぼってた。もう怒ってないから頭を上げてくれ」


 いつもなら長々と説教をしてくるのだが、今日はすんなりと怒りの矛を収めてくれたところをカズトは若干違和感を感じるが、直ぐにその違和感を忘れてしまう。

 これも女神シロの魔法の影響なのだが、カズトを含め異世界アグトの住民は気づかない。


「ユニは可愛いから嫁に貰うヤツは幸せだろうな。むしろ、俺が貰いたい位だ」


 カズトはプロポーズを言ってる事に気づかない。

 だが、ユニはそれを真剣に受け止めてる様子でカズトの両手を握り締め聞いてくる。


「それは本当なんだろうな。ウソだったなら容赦しないぞ」

「えっ?あぁ、ウソじゃないぞ」


 一瞬何の事かカズトは理解出来ないまま肯定の返事をするが、自分が言った事の重大さに気づくが後の祭りだ。

 ユニは本気にしてるし、今ウソと言ったらカズトはこの世にいなくなるだろう。


「私の立場があるし、直ぐに無理だが待っててくれ。騎士を辞めてカズトと一緒にここで働くから」


 えっ!騎士を辞めるって言ったか!王様や薔薇隊のみんな、城にいる全員で騎士を辞める事を止めるではないか。強力な戦力であるユニが辞めるからな。

 だが、ユニの目は本気だ。本気で辞める気でいる。カズトにとっては何気無い一言のつもりが、とんだ大事を引き寄せてしまったのである。

 ユニがここで働く宣言をした後、この部屋の外から物音がするかと思えば新人リーダーを含め部下五人全員が雪崩れ込んできた。


「いてててっ、早く上から退くのです」

「お前達、ここで何をしているのだ(怒り)」


 あっ、これは本気で怒ってる模様だ。怒られてないカズトでさえも震えてしまう。が、ここは鎮めないと………俺の店が壊れてしまう。


「まぁまぁ、ユニ抑えて。こいつらも悪気があってやった訳じゃないだろうし………」

「分かりました。勇者殿………カズト殿が言うのであれば」


 素直に俺の言う事を聞いてくれたが、名前で呼ばれると初々しく背中が痒い感覚に襲われる。


「隊長、その服似合います。勇者様のプレゼントですか?ニコニコ」


 ユニはビキニアーマー以外着る物を所持してなかったし、あげるとすれば俺しかいないな。

 しかし、新人リーダー何故笑顔なんだ!何か嫌な予感するが気のせいだろうか?


「勇者様、姫様が探してましたけど?」


 レイラが?何だろうか?この部屋から去るのは不安だが、仕方ないだろう。不安を残しながら厨房へと行くカズトであった。

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