21食目、赤薔薇隊隊長を部屋に案内する
「すまんな、私の部下が失礼な事を」
「いや、これも仕事の内さ。お客様に満足して帰って貰う、それがレストラン〝カズト〟の仕事なのさ。さぁ、部屋の中に入ろうか」
実のところカズトは冷静を装ってはいるが、心臓がバクバクと鼓動が鳴ってる。
ユニの顔がまともに見れないせいで、物理的にユニの胸やお尻等露出が激しいところに目がいってしまう。
カズトも男だ、ムラムラとしてくる。早く厨房に戻りたいが、これも仕事と言った手前戻りにくくなってる。これも女神シロ様の魔法の影響なのか?
今まで度々仕事柄会ってはいたが、ユニに対して感じた事のない感情が次々と沸いてくる。
『そうだ、私のお陰だ。カズトがあんまりにもヘタレぷりだから私が選択肢を変更したのよ。嫁にしてあげたから、感謝しなさい。それじゃぁね♪』
『それじゃぁね♪じゃねぇよ。何良い事したみたいに念話を切ってるんだ。おいっもう一回出ろよ、クソ女神。完全に念話を切ってやがる』
俺とユニの異変は女神シロの仕業だという事が判明したが、その事を認識してるのはカズトのみである。
今は何とかおかしいと認識出来てはいるが、時間が経過するにつれカズト自身も今の状況について、違和感を感じなくなる怖さに襲われている。それほどに女神シロの魔法は強力なのだ。
過去の女神の
それ以外は頭に霧が掛かったように思い出せない。
「勇者殿、どうしたのだ?そんな怖い顔をして?」
ユニには念話は分からないが、女神シロとの念話をしてたカズトを心配して顔を覗き込むと怖い顔をしてたらしい。
ユニに指摘され初めて気付き、自分の顔を指で解すように真顔か笑顔にどうにか変えた。
「いや、ちょっと考え事をな。下は忙しくないらしいし、少し話そうか。その前に………俺は外に出てるから着替えたらどうだ?ここは王城や戦場じゃないんだし」
カズトは提案するが………
「実は………この鎧しか持っておらんのだ」
「うん?寝る時はどうしてるんだ?」
「全裸………なのだ」
今でも露出激しいが、カズトは全裸姿のユニを妄想してしまった。
そのせいで、ますますムラムラが増した。このままだとユニを襲うかもしれないと頭を横に振り妄想をかき消した。
「今思い浮かべたな!忘れるのだ」
何という勘の鋭さなんだ。これも隊長のなせる技なのか。自分で言っといてユニは顔━━━いや、体全体が鎧の色と分かんない位に真っ赤かに茹で揚がってる。
やはり、最強と謳われる騎士隊の隊長でも中身は普通の可愛い女の子なんだな。
ユニは凄い剣幕でカズトの肩を掴み前後に揺らしてる。
忘れようとしてたのに、ユニが言うからまた思い浮かべてしまったじゃないか。今は妄想した事は黙っていよう。
羞恥いかりに任せて剣で襲って来るやもしれないし、今は丸腰で武器ないしな。
「安心して下さい。全裸のユニを妄想してませんから」
「………!!やっぱり、思ってるではないか」
し、しまったぁぁぁぁ!つい、口に出してしまった。俺のバカ………バカ。これでは、ユニに嫌われてしまうではないか。
「ち、違うんです。それは………ユニが魅力的だから妄想してしまっただけです」
俺の口よ、何を言ってるんだ!これじゃぁ、余計に嫌われてしまうではないか!穴があったら入りたい。
「そ、そうか。私が魅力的だからか。なら、しょうがないな」
あれ?許してくれた?
ユニに自覚はないが、先程よりも赤く染まっている。明らかに照れて満更でもない様子だ。ただ、二人とも照れて無言になっている。
「…………」
「…………」
「………あっ、そうだ。これはどうだろうか?」
居たたまれない空気が嫌で、カズトは何か話題としてアイテムボックスから女物の服一式を取り出したように見せ掛けて、【
地球の衣類なので、ユニは見た事ないだろうが、きっと似合うとカズトは確信してる。
「これは………見た事ないが、カズトの世界の服か?こんなもの私に似合う訳ないだろ」
カズトが買ったのは、胸の辺りにヒラヒラが付いてる黒いキャミソール、ジーンズの短パンだ。
流石に下着は買ってない。ていうか、異世界アグトには下着という概念がほぼ存在しないらしい。
それにしても女物の下着を買う事は【
「えっ?俺は似合うと思うけどな。やんないで、イヤとか騎士らしくないと思うけど………」
少し挑発ぎみに言う。普通、騎士というのは肉体だけではなく、精神的にも強靭でなくてはならない。そのため、敵の挑発には乗らないのが定石だ。
だが、女神シロの魔法による影響が出てるのか、ユニはカズトの挑発に乗ってしまう。
「良いだろう。やらず嫌いは騎士精神にそぐわない。着てやるからカズトは外に出ていろ」
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