第6話 返本トラップが発動
商品を持つことが出来ないのであれば、何度か往復してでも持ち帰れ、と言うような下郎な人間ではないので、あと1時間弱待ってもらうことにした。
つまり、俺が自宅まで、可憐さんが持てない分を持っていくことにした。可憐さんは申し訳なさそうにしていたが、商品を購入し終えるまで気づかなかった自分もポンコツだったかもしれないので気にしないでと言葉をかけておいた。
ひとまず商品をバックヤードに置いておくことにした。可憐さんは、これ以上買い物することが物理的に無理なのだが、だからといって暑い中外へ追い出すようなことはできないので、バックヤードにいてもらうことにした。
本当は従業員以外立ち入り禁止であるが、オーナーがたまに知り合いを連れ込んで、日曜の競馬予想をしていたり、恋人を連れ込んでいたりするので問題ないだろう。いや、やっぱりよくないな。
ただ今回は買い物客のためだし上記の私的な理由には当たらないからセーフ。
「とりあえずここに座って待っていてください、暇でしたらこれでも読んでおいてください」
そういって返本予定の週刊誌やらをひとまとまりにして渡しておく。
普段どんなものを読んでいるか分からないから、とりあえず全部渡すしかない。
「あ…これは読めないです…」
上から2冊目にあった雑誌を取り除き、こちらへ渡してくる。
「え?…あ、すみません…これは読まなくて大丈夫です」
エロ本が混ざっているかどうかなんて普通確認しないからな。申し訳ないと思うと同時に、恥ずかしがる可憐さんが可愛いかったので、複雑な気持ちになった。
「お前…無課金のくせに許せねぇよ」
レジに戻るとそうそう恨み節が聞こえてきた。
そういえば今日のシフトは川上(ソシャゲの姿)と一緒だった。さっきまでは川上(イケメンの姿)だったのにな、何があったのだろうか。とまぁとぼけてみたが理由はわかる、多分可憐さんのことだろう。
「別に可憐さんだって、お前のことイケメンだって褒めてたからいいだろうに」
内面に関しては的はずれな答えだったけどな。
「でもその後の言葉に問題がある。俺よりお前のほうがいいって聞こえたぞ」
「まぁあんな美少女に、顔はイケメンのお前と比較してそう言われたら嬉しいよな…」
正直めちゃくちゃ嬉しかったな。イケメンに勝つ機会なんて、勉強を除いて俺の人生初じゃないだろうか。
「ケッ…さっさとサービス終了しろや」
捨て台詞を吐くイケメンってラブコメだと大抵の場合は、その後表舞台には上がって来れないよな。
つまり、川上はここで可憐さんとのお近づき戦線から脱落なのではないだろうか。
そういえば、可憐さんって恋人とかいるのだろうか。お嬢様とかって恋人というよりも許婚がいそうではあるが。あとは、幼い頃に婚約したけどそれを忘れている幼なじみとか。
…ってこういうのはラブコメのみすぎだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます