第9話

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「……だよ」と答えた沙代ちゃんに驚きが止まらないべーさんは卓上カレンダー持ちその日にちを指差した。「今日だよ」「今日だね」二人はハモった。

ほらほら「このバスの中は時間の流れがぐちゃぐちゃだから」そういうこともあるのさと運転手は前方に来て、沙代ちゃんの体をバス後方へ運んだ。「「何をするんだ」」とハモる二人。運転手は「医療従事者との契約を忘れたのかな?」と俺はヤツがキレるのは見たくねぇと笑った。

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べーさんは「今日は気分が悪いんだ」このまま女を知らずにあの世に逝きたくないとべーさんは我儘を言う。「契約は契約だ」と運転手は沙代ちゃんをカーテンでべーさんから遠ざけた。その行為に「残念」に想う沙代ちゃんは自分がおかしくなったのか?狂ったのか?と驚いた。

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べーさんは「誕生日おめでとう妻君殿」と言って、蝋燭をイメージした人差し指に吐息を吹きかける訓練を始めた。沙代ちゃんは何故か?その行為に苛々した。それを「嫉妬」とラベル付けする沙代ちゃんは顔を赤くした。右の耳についたキスの痕に血液が集中するかの如く熱くなる。

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今夜はハネムーンだったら自分はどうしたいからどうするのだろう?と素直に思った。運転手にアメリカンのブラックをいれてもらい、沙代ちゃんは昨日と同じ朝食をとった。それはべーさんの作りおきのベーコンエッグトーストで運転手が解凍したモノを、ほいっと渡してくれた。

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やはり、べーさんは点滴だった。うたた寝から起きた医療従事者がべーさんの容態を検査して「絶対安静」を告げて後方へやってきた。何も無かった様にふるまう運転手を見習い沙代ちゃんは自然体を演じた。「妻君殿」という言葉が頭で渦巻き平静を装うのに、とても苦労した。

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