第8話

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沙代ちゃんをかばうかの様に胸で泣きじゃくる姿を隠す運転手。沙代ちゃんは「ごめんなさい。ごめんなさい」と泣いていた。それを「お前俺から女盗る気?」べーさんの久しぶりの威勢の良い声だった。「こら。寝てなさい」と医療従事者。

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なのにべーさんは噛みつきそうな顔を運転手に向ける。「あんたの事が好きだってさ」と運転手は沙代ちゃんの涙を指で拭い、その大きな目を見た。ひっく。と少ししゃっくりをした沙代ちゃんの背中をさする。沙代ちゃんが大丈夫になるまで、べーさんは怒りを堪え、運転手は沙代ちゃんを慰めた。

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「沙代ちゃんは僕が嫌い?」と落ち着いた沙代ちゃんにべーさんは話しかける。見えてるのか?見えてないのか?わからないべーさんの視線を感じながら沙代ちゃんは「大人の男の人だから怖いよ」と答えた。「へぇ、嫌いなんだ僕のこと?」意地悪な口調のべーさんは子供じみていたので沙代ちゃんはくすりと笑ってしまった。

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「ごめん、嫌いじゃないよ」運転手が頭をくしゃりとなぜて沙代ちゃんを膝から下ろした。「良かったな。べーさん」と言ってキッチンに向かった。残された沙代ちゃんは「はじめてのことだから醜態をさらしてごめんなさい」と言ってみた。「来いよ」べーさんはベットで手で招いた。医療従事者が座り寝をしてるのを良いことに、沙代ちゃんはバスの前部にふらふらと歩いた。

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べーさんの座るベットに近づくと右の耳に噛みつくようなキスをされた。ぱにっくで赤くなる沙代ちゃんの頭をべーさんは抱き締めながら言った。「遊びじゃないから、結婚の話は」と赤くなる顔を隠す様に沙代ちゃんの頭はべーさんの胸の中にあった。「ごめんなさい。本当は嬉しいよ」と言えば許されると習った生徒の様な沙代ちゃんの反応に満足できなかったべーさんは「誕生日何時?」と事務的な口調で聞いた。

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