第4話

16

驚いた沙夜ちゃんは「はにゃっ」と声をあげた。「18らしい顔できるじゃないか」と笑った。べーさんが少し照れてた理由を沙代ちゃんは知らない。全く気がついて無かった。南の島にバスを止めた運転手はへばってラウンジに埋もれ眠ってしまった。そのいびきを聞きながら、沙代ちゃんはべーさんの用意した朝食エッグトーストを溢れない様に必死で頬張った。

🌑17

潤む両目を「大きな目だな!」と照れながらべーさんも朝食を食べ終えた。「点滴じゃないのね」聞く沙代ちゃんに「調子のいい時はいいんだ」と答えてマジな顔をした。食器を洗い後片付けをする動くべーさんのうしろ姿を見て、沙代ちゃんはどきどきした。「あの?」裏返った声で沙代ちゃんは言った。

🌑18

「此処は何処?蒼くて。海も空もとても綺麗ね」「夜の星空の方が良いぞ」退屈そうにべーさんは言った。「そうなんだ」ぽっと頬を染める沙代ちゃんは、べーさんが前方の寝台に体を横たえるのを見て「あっ」と思った。べーさんは静かに両目を閉じた。その顔は、沙代ちゃんには、とても美しく写った。

🌑19

べーさんの細い体を見てた沙代ちゃんは、医療従事者との約束を思い出し、ラウンジと車体を隠すカーテンをひいた。もう美しいべーさんの姿は見えない。運転手のイビキが穏やかになる中、沙代ちゃんは窓から見える景色を見ようとした。

なんて綺麗な空と海なんだろう?

🌑20

砂浜で足を洗おうか?と沙夜ちゃんは出入口のドアを開けた。すると、ドアの外が夜の繁華街という異空間につながり、沙代ちゃんは別の空間に飲み込まれそうになった。「たすけて」と泣きじゃくる沙代ちゃんは、

「いかないでくれ」というべーさんの声で、バスの中によろめく事が出来た。

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