第2話

06

点滴が体を巡る痛みで、ぜいぜいしながらもべーさんは後方のラウンジに行こうとした。その時沙代ちゃんはべーさんの顔が火照っているのを見逃さなかった。「私、病気なんです。不治の病なんです」と沙代ちゃんは、何時もより精一杯の声をかけた。驚いたべーさんはラウンジに沙代ちゃんを招いた。

🌑07

「僕達は似てるね」とべーさんは言いながらドリンクを二人分用意した。「のんあるだから」大丈夫だよとべーさんは薦める。薬を常備していた沙代ちゃんは医療従事者に「飲み合せ悪くないですか?」と聴いた。 作業を中断した彼は「君の分は僕と分けて水でわろう」と言った。「ありがとうございます」という沙代ちゃんにべーさんは器用に3人分のドリンクを作った。

🌑08

3人でグラスをあわせる。「乾杯」と沙代ちゃんは笑った。したら「その方が良いよ」とべーさんと彼は言った。こそばい気持ちの沙代ちゃんは何で異空間が開いたか?とか気にせずに理子の事も忘れて愉しげに話を聞く。「僕が死ぬまでこのバスに乗り楽しみながらデーターをとってゆくのが」

🌑09

「僕が雇われた条件なんだ」とドリンクを飲み気持ちよさそうにくつろぐべーさんを見て沙代ちゃんは「私はお邪魔かな?」と沙代ちゃん。それには運転手が「わりぃ。俺の運転ミスだから」気楽にして過ごして欲しいと言われた。「ありがとうございます」ほおりだされるかもしれないと怯えていた沙代ちゃんは落ちついた。

🌑10

医療従事者はグラスを空けると前方に戻ってパソコンに入力をしてゆく。それを背にべーさんはラウンジで深く腰を下ろしゆったりとくつろいでいた。沙代ちゃんは蝋燭に灯をともし息を吹きかけるべーさんの姿をぼんやりと見ていた。蝋燭の火はべーさんの吐息に形を変え続けるも、彼は納得していなかった。

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