さようなら、べーさん【ノベプラ初掲載】
宝希☆/無空★むあき☆なお/みさと★なり
第1話
01
沙代ちゃんは幼い頃から持病があった。一生完治しないということと、その病は遺伝するということを幼い頃から知っていたから、沙代ちゃんには結婚願望が無かった。そんな沙代ちゃんを見ていて友達未満の理子は「将来はルームシェアかな?」と想定するくらい沙代ちゃんは本当に未知の病だった。快適な室温でなければ生きて行けない沙代ちゃんなのだが、それは冒険だった。理子に誘われて終着駅の映画館に行こうとした時、異空間がつながった。それが沙代ちゃんとべーさんの出逢いだった。
🌑02
前方救急車、後方バーのラウンジ+キャンピングカーにそのオレンジ色のバスの中は見えた。中央で開く扉の奥にべーさんは座っていた。そのバスが終着駅のホームの降りエスカレーターから姿を覗かしていた。理子が止めるのも、お構いなしで沙代ちゃんはバスの中に乗り込んだ。べーさんは驚いていたが、沙代ちゃんを乗せて異空間は閉じた。
🌑03
「僕はモルモットなんだ」と沙代ちゃんにべーさんが話しかけた。「実験動物?」と聞く沙代ちゃんにべーさんはコクりとうなづいた。「何の病気?」と病がちな沙代ちゃんが聞くと知らない異国のスペルを吐かれた。あまり詮索されたく無さそうだ。沙代ちゃんはうずうずする気持ちを殺した。
🌑04
バスには運転手と医療従事者と重い病のべーさんの3人が乗っていた。沙代ちゃんは話題が無くなり、どうしてよいのかわからない気まずい空気を医療従事者が破った。「べーさん。そろそろ点滴をうけないと」と点滴を準備して言った。べーさんが沙代ちゃんを気にしながらも前方の救急スペースに移動した。
🌑05
「君は目をつぶって見ないで」と言われた沙代ちゃんは律儀に両目を閉じた。荒々しいべーさんの息づかいに、大人の男の人のリアルを感じて沙代ちゃんは顔を赤く染めた。仕事onlyの運転手と違い、医療従事者は「サンクス」とべーさんに声をかけた。 データーをパソコンに入力する彼は、沙代ちゃんに「もう良いよ」と声をかけた。
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