第3話 ハマらない腕

「おぉぉぉぉ落ち着け弟!!」


「落ち着けないよ!!」


俺たちは慌てて、取れた腕を元に戻そうとするが、人間の体はフィギュアとは違い取り外し可能な訳では無い。

1度外れた腕はそのままぽとりと音を立ててまた落ちた。


「どうしよう…」


「と、とりあえず、腐らないように冷凍保存を…」


「さすが兄ちゃん、頭いい!!」


「よし、じゃあ入れてくるから。」


俺は弟の腕を抱えて階段をおり、リビングに行き、腕をラップでグルグルと巻いた後、スカスカの冷凍庫にそれをぶち込んだ。


すっぽりと綺麗にハマったのを確認して冷凍庫を閉め、ついでに飲み物を持って行こうとお弟の分も一緒にお茶を注いでいる時、2階から勢いよく駆け下りて来る音が聞こえた。


「兄ちゃん、兄ちゃん、兄ちゃん!!寒いよ!!このままだと凍っちゃうよ!!」


弟は無い腕を押さえながらそう俺に訴えた。



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笑う屍 橋倉 輝 @kkinko0219

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