第2話 弟

「母さんと父さんも死んで、お前まで死んだら俺はどうやって生きていけばいいんだ!!くそっ!!」


俺は毎日弟の死体を綺麗に拭きながら、悲しみに暮れていた。

2週間がたった時、いつも通り、綺麗なままの弟の死体を見つめていた時、微かに弟の腕が動いた。


「にい、ちゃん…」


「弟?」


「にいちゃん…にいちゃん…」


「あぁ、これは夢なのか?夢でもいい、覚めないでくれ!!」


俺たちはがっしりと抱き合うと2人で涙を流した。


「にいちゃん、にいちゃん、にいちゃん…」


「弟、弟、弟ぉ……」


「にいちゃん…」


バンッバンッ


「弟…」


バンッバンッバンッ


「に、にいちゃんっ!!」


バンッバンッドンッ


「うっ…弟……」


ドンッドンッドゴッ


「ちょっと待って兄ちゃん!今本気で殴ったよね!?虐待だ!イジメだ!」


「先に殴ってきたのは弟だろ!?」


「本気じゃ無かったし!!」


「それより、弟、死んだんじゃなかったのか?」


「それよりって…そうだよ。俺死んだんじゃ…なんで…」


「だよな…俺はちゃんと確認したぞ。さっきまで弟は確かに死んでた。」


「…そういえば…さっき叩かれた時全然痛くなかったかも…それに、兄ちゃん独特のあのイカ臭い匂いがしない…」


「イカ臭い?」


「うん。いっつもなんか、変な匂いがしてたよ?」


「1日5回は多かったか…」


「兄ちゃん?」


「なんでもない!弟、少し腕を借りるぞ。」


「いいよ。はい。」


弟は腕をカポッと外すと、それを俺に渡してきた。


「…弟?これはなんだ?」


「え?腕…だけど?…腕?え?」


「…」


「…」


「「ぎゃあああああああ!!!」」

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