第68話 THE・ニュー・ビッツィー
白桃の
どういう仕組みなのか、マヨヒ家の内装は
ビッツィーは
「
「お疲れ様、ニュービッツィー」
「アイ」
「今度のOSは凄いわよ。ノリコの紋様を参考に設計を見直した結果、データ処理の高速化が実現。消費コストは低下。しかもハイパワー。インターフェースの一新により操作性まで向上。世界で最も革新的なOSだと自負しております」
「凄い」
「アイ」
「恐縮です。うむ。恐縮です。ああ構わない、二人とも楽にして?」
「ご機嫌だねニュービッツィー」
「さあ。風呂と酒だな。今日はゆっくり休みましょう」
こうして、お湯に浸かり、
フランソワの寝息が室内に響いている。
私は隣のビッツィーに訊ねた。
「こんな良い場所があるのなら、ほとぼりが冷めるまで
「無理よ。
「どうなるの」
「出られなくなる。出られなくなった人が
「ええ……」
「寝床と食べ物が在るだけの場所よ、
ビッツィーはそう云った。
そうかも知れない。外の世界は苦しいけれど、ずっと
私たちは
眠ったのかと思った頃、ビッツィーは話し始めた。布団から腕を伸ばして、
「
「ビッツィーはどうして……」
「うん?」
「何でもない」
ビッツィーは自分の過去を語らない。
私も訊かない事にしていた。彼女が一体どんな少女時代を過ごし、何を夢見て旅立ったのか、知りたい気持ちはあったけれど。
ビッツィーは
屏風には仏画に似た絵図が、金糸銀糸で
眠りこむ寸前の声でビッツィーはこう云った。
「三人で出て行こうね。ずっと
翌朝、私たちはマヨヒ家を出た。
「じゃあ行くかな」
フランソワが歓声を上げた。
車はトロッコ線路に火花を散らして加速し、
「これで、トンボ野郎を振り切った。これから一気に山を越える。連中、空間術はもう使えないと思ってるはず。『使えたならもっとスマートに逃げてる』ってね。私たちが
ビッツィーはそう宣言した。
これで、少なくとも当面は、追跡隊もトンボ野郎も私たちを見失った事になる。
後はどうやってこの国から脱出するかだ。
「ビッツィー、
「
かなり希望のある脱出計画に思えた。
たぶん、ビッツィー本人もこれで上手くいくと思っていたに違いない。そう、この時点では。
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