第65話 採掘場から
それは異様ではあるけれど、
「ここはずっと昔、鉱物の
ビッツィーが教えてくれた。しかし、
「
塗装が剥がれて読めないが、重機にはメーカーの銘らしき物の跡まであった。本当に機械文明が栄えていた頃があったのだ。
私も周囲を探し始めた。機械文明の事なら私にも役に立てる機会があるのではないか。そう思ったのだが甘かった。
「バッテリーとか、ダイナマイトとか、置いてないかな?」
「そんなもんあったって湿気でダメになってるわよ。ガソリンがあればベストだったんだけど、無理そうだわ。フランソワ。キャタピラに蹴り入れてると足の爪もってかれるわよ」
探索を諦めたのか、ビッツィーは背伸びをした。
「無駄足だった?」
「まあ、期待はしてなかったから。もうしょうがないか。今日って満月よね?」
ビッツィーは満月に
「多分。昨日の夜見た限りだと、今夜がそうだと思う」
「そう。行きたくないけど
そう云ってビッツィーは私達を鉱山のトンネルへ誘った。
「入って平気なの?」
「平気。変な生き物とかガスとかあるけど、平気」
声は
ビッツィーの足取りに迷いはない。
しかし私には同じ道を行ったり来たりしている様に見えた。
直角に曲がったり、引き返したりした
開くと、唐突に外へ出た。
坑道内の
環境の変化に
目の前には、桃の香りに包まれたお屋敷が建っている。
「まあ入りましょう。ああ疲れた陰気臭かった」
ビッツィーは無防備に入って行く。
「え、入って大丈夫なの? 強盗をやるとかそういう事?」
「平気平気。誰も居ないし安全だから。ルールさえ守れば安全。守ればね」
「なんでルールの話二回したの? なんで念押した?」
問い詰めたかったが、その間もなく、フランソワが一番乗りで飛びこんで行った。
「無防備。もう」
私も仕方なく追った。
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