第60話 ビッツィー麺を食べる
「私はニンニクマシマシアブラカラメ」
「私も。フランソワは?」
「ゼンマシ、ゼンマシ」
「――でよろしく」
「食券買って下さい」
ラーメン的な物を食べながら状況を整理した。
まずはっきりしているのは、今回の仕事が明らかに失敗だった事。
大抵の場合、私達が令嬢を
カルベリィの時は例外で、山中の閉じた立地だったから、村ごとあんな風にしても、逃げ切れる計算だったと云う。村中を
それで今回は
今から逃げようにも、こんな時間に稼働している外国船はなかった。
この島国でフラウ=ナ=ヴエルの追跡を続けるという目的もあった。
「
「そうねえ、もう
「ゼンマシ、ゼンマシ」
「食券買って下さい」
サンプルを取られても、追跡術を放たれる恐れはない。ビッツィーは以前そう云った。実際、今までは安全だった。
その
ところが、翌日には港に検問が張られていた。あの普通令嬢を確保して一晩でカルベリィ事件との関連に気づいたと云う事になる。
予想はしていたが、手際の良さには驚いてしまった。
フランソワもすでに人質ではなく、強盗の一人として扱われていた。
「フランソワの事まで把握してるって事は、この国の警察、と云うより海外に捜査チームが在って、そいつらの方で、今回の事件に目を付けて来たんでしょうね。それにしても――似てねえわ」
ビッツィーが新聞を放り投げる。
「ラア」
と叫んで、フランソワが手刀で貫く。
手配書には私達三人の似顔絵が掲載されているのだが、それが実に悪人っぽい顔つきで、私達に対する悪意が感じ取れた。
この時点では想像もつかないし、存在を忘れていたのだが、捜査チームは、カルベリィで片目を潰された、あの下品な警官が取り仕切っていて、彼が実に執念深く私たちを追っていたのだった。
もしかしたら、調査方面に関しては有能な人物だったのかもしれない。
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