第4話 喫するは杏の味
ビッツィーは歩きながら果実を
「種まで
「キッス?」
果実は指のあいだから
この熟れたと云うには行き過ぎた果実を、ビッツィーは美味しそうに
色々考えていた質問を聞きそびれて終わったのは、アルコールの
カルベリィの村は丘の上にあると云う。私には知らない地名だった。どういう漢字を当てるのだろう等と考えた。この時の私はまだ、この土地を日本の
道路に出たが、石畳が敷いてあれば良い方だという路面状況。ガードレールも標識もない。土の道をビッツィーはヒールで軽々進んでいく。
「あとは道なりで着けるはず」
「はず?」
「行ったことないから。有名な
私たちはカルベリィへ向かう。それは分かった。しかし
「これから、私どうなるんでしょう」
ビッツィーの答えはこうだった。
「もちろんカルベリィの
やがてカルベリィへ着いた。しかし「珍しい粘菌をみつけた」などとビッツィーが云いだして、道を
「やっぱりさっきの道を――」
引き返そうとする私の肩を、ビッツィーが抱き留めた。
さらに、
爪先で丸太を弄んで、好みの角度に調整すると、私を抱いたまま飛び乗った。
「ビッツィーさん?」
ビッツィーは満面の笑みを浮かべている。
丸太は斜面を降り始めた。と云うより滑り落ちて行った。
私は悲鳴を上げ、ビッツィーは口笛を吹いた。
ビッツィー。
常に刺激を求める女性。それも他人を巻き添えにして。
この丸太の
ビッツィー体は温かく、頼もしい生命力に満ちていて、風の
私たちは声を上げて笑ったが、後に起こる事件を考えれば、これはカルベリィにとって破滅の
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