第3話 マジョーラ
車は異空間を抜けて、森へ出た。
車が止まる。エンジンがチリチリ鳴った。振り返ってみたが、異空間への穴は消えて、緑の茂った景色が広がるばかりだった。車ごと森の中に放り出されたような格好だ。
「ああ、
落ち葉の地面へ降り立って、ビッツィーは大きく伸びをした。体にぴったりのスーツとパンツ姿だったから、しなやかな体つきが強調されて見えた。
「ノリコも降りて来なさいよ。気持ちいいわよ」
親戚の子でも相手にするような、リラックスした態度だった。
私は従うと、傷つけないよう
ドアミラーの存在に
体は
しかし元通りという訳でもなかった。
私は頭を自分で散髪していたのだが、その髪が何とも
さらにその奇妙な色のなかに模様が見分けられる。何か
自分に何が起こっているのか分からない。夢を見ているのだろうか。それとも前の世界が夢だったのだろうか。
私は身体の方も詳しく点検せずにはいられなかった。
「ちょっと待とうか?」
気持ちを察したのか、ビッツィーはそう云った。
木陰で確認した。
「行こうか」
気づくとビッツィーが私を見下ろしていた。当面は彼女に頼る他ない様に思えた。
目を離していた間に車が消えていた。
地面は木の根ででこぼこしており、車を移動させられる様には見えなかった。
「あの、ビッツィーさん?」
「もっと砕けた口調でいいのよ。『ハアイ、ビッツィー!』って」
「ええと、なんて云うか、ありがとうございます、ビッツィーさん」
私は控えめに応じた。
ビッツィーは残念そうに唇を鳴らしていた。
彼女は折りたたんだ紙切れを、胸の谷間へ押しこんでいる所だった。そんな所をポケット代わりに使う人が実在するとは驚きだった。
私は胸のポケットを見ないようにしながら訊ねた。
「車はどこへ置いたんですか?
「
多分、初めの質問に対する答えた。ビッツィーは自分の胸元を指し示した。その時はどう云う意味なのか分からなかった。
「まあ、歩き
ずいぶん適当な云い方だ。
「……カルベリィ?」
「そう。カルベリイが一番近い村ね。
彼女は先に立って歩きだした。私も後に続くほかない。
森の
カルベリィ。
今となっては
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