第108話

マユガカ繁殖地を闊歩する。

徘徊するマユガカ達は、目の前を横切る俺に気付くことはない。


水辺の岩影へと産み付けられたマユガカの卵を採取するため、亜空間倉庫の指輪より卵収納鞄を取り出す。


卵を採取した後は、亜空間倉庫へ卵収納鞄を戻すことはできない。

入れたら卵が死んでしまうからな。


水辺を歩きながら卵を選別しつつ採取。

孵化直前の卵などを採取してしまうと、帰る途中でマユガカの幼体が生まれる可能性がな。


だから産み付けられてから時間が経ってない卵を選んで採取したよ。


しかし忍術は便利だな。

足裏へと纏った麟の膜にて水面へ立てるため、濡れることなく水辺を移動できるんだわ。


そんな感じにて採取を続け、水辺を移動。

卵収納鞄一杯に採取を終えたので、採取を終えて討伐へとな。


この繁殖地は、複数ある繁殖地の中で最大規模となる。

ここと同規模の繁殖地は、あと2つだな。


『この規模のコロニーはスタンピートを誘発させる要因となります。

 壊滅させることを、お薦めいたします』って提案がな。


殲滅ねぇ…

忍術を修得できた今なら、繁殖地を壊滅させることも可能かな。


逆に忍術を修得できてなかったら、無理だったな、これ。


『いやいや。

 普通は忍術で、この規模のコロニーを壊滅させるなど、不可能ですからね』


まぁ、それはさ、さっきの遣り取りで理解はしてるさ。

だけどな、剣や弓での討伐だったら、とてもじゃないが殲滅なんぞできんだろ?


そう考えたらな、忍術を覚えられて良かったって思う訳よ。

まぁ、威力がさ、ちとばかりおかしいがな。


『………

 ちと、ですか?』


あ~その、なんだ。

元来の忍術が、どの程度の威力かは知らんのでな。


っか、殲滅すっぞっ!


『誤魔化してません?』


うっさいわっ!


っうことでな、マユガカ成体が群がる地下空間を作成した場所へ雷遁の術をな。


極太の雷柱が、マユガカ達を飲み込み、一瞬の内に消し炭へと。

こら凄い。


地下空間は、土遁の術にて埋めておいたよ。

潜り込んでいたマユガカ達は、強制的に土葬ってな。


術を放った後、素早く移動を。

さすがに巨大な稲妻が放たれたらさ、マユガカ達が殺到する訳で…

まぁ、鎧があるから危険ではないのだが、動きが阻害されるのでな。


移動を終えたので、離れた場所に複数の竜巻を。

霧を纏わせた後、砂塵も含ませる。


それを冷やし微細な氷と砂塵が渦巻く竜巻へと。

そこへ雷が加わり…


複数の雷竜巻が乱立ってな。

そう稲妻旋風…火災旋風の稲妻版ですな、ありがとうございます。


そんな稲妻旋風が互いにつかり合いながら、繁殖地を蹂躙して行く。

電撃が水辺へ伝わり、水中をも蹂躙しているぞ。


成体は竜巻に吸い寄せられ、竜巻に飲み込まれて行くな。


さらに、時々稲妻旋風より雷が放たれ、稲妻を纏った風の刃が飛び交う。


竜巻に飲み込まれたら、微細な氷塵と砂塵に削られボロボロにな。


この氷塵と砂塵が擦れ、雷が発生するもんだから、さらに稲妻が強化されとるわい。


このコロニーが壊滅するのに、さほど時間は掛からんかったよ。


すざまじいものだな…

 卵も全滅かぁ。

 採取しておいてよかったが…さて、どうやって解除したものか」


『マスターぁ?

 考えなしにも、ほどがありますが』

そがぁに呆れんでもさ。

照れますなぁ。


『マスターぁっ!』


でぇ~じょうぶだ、でーじょうぶ。

制御は、できてからな。


ただ、思った以上に規模がでかくなったんで、解除がなぁ。


俺が困ってっとべティがな。


『ならば竜巻に干渉して麟と化し、辺りへ散らせば良いですよ。

 今のマスターならば、できるでしょう』ってな。


そう言うことでチャレンジしたら、思ったよりも簡単にな。


したらな。

『提案はしましたが…全く労せずですか…

 規格外にも、ほどがありますね』って、さらに呆れられたんだが…解せん!

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