第109話

繁殖地を壊滅させた後、同規模の繁殖地へと。

2つあった、それらを全て壊滅させた後、残りの繁殖地へとな。


そちらは壊滅させずに間引く…

『マスター?』


いや、間引くつもりだったんだよっ!

まさか壊滅するって思わんじゃんか!


『ふぅ、普通は威力を高めるために修練を行うものですが…

 マスターは、威力を落とす修練を行わなければなりませんね』


はははははっ、さいですね、はぁ。


取り敢えずは、忍術で間引かずに小太刀と弓にて対処を。

いや、石礫や氷な矢、風の刃に水球などならば…


『マスター?

 止めていただけません?』


いや、そがぁに冷たく言わんでもさぁ…

まさか、壊滅的ダメージになるとは、思わんやんね。


だからさ、残りの繁殖地では、小太刀と弓だけで対処したよ。


これでスタンピートが発生することは、当分ないだろうさ。


『そうですね。

 半年は大丈夫でしょう』


それでも半年かよっ!


『マユガカの繁殖力は高いですから。

 半年もあれば、マスターが間引き始める前と同じ規模に戻るでしょう。


 できましたら、駆逐した方が良いのですが… 』


それはフォリゾン・エルフが、マユガカ飼育に成功するかによるな。

失敗した際のマユガカ卵を確保する先がなくなるのは、さすがに困るからなぁ。


『確かに、そうですね。

 しかし… 生存にマユガカ成体の体液が必要とは、難儀な種族ですね』


そうだな。

でもなぁ、何でも植物にて代用品を産み出してんのに、マユガカ成体の体液は産み出せないんだな。


植物にて精製可能ならさ、マユガカを飼育する必要もないだろうに…


俺が、思わず愚痴ると…


『それって… フォリゾン・エルフの方々が気付いてないだけかもしれませんよ。

 帰ったら、尋ねてみてはいかがでしょうか?』


まさか、そんな訳ないだろ。

ないよね?


『意外と分かりませんよ。

 灯台もと暗しって言葉もありますし… 』


まぁ、常識すぎて疑わない場合もあるのかな?

帰ったら訊いてみるかね。


『マスターには、帰る前に忍術を制御する修練をしていただきます。

 今の侭で、間違えて術を放たれたら大惨事ですので』


ってな訳でな、べティに強要されて忍術修練をな。


場所は最初に壊滅させたマユガカ繁殖跡地だな。

鎧は既に脱いでおり生身だが、マユガカの姿はないし、こんな奥地へは動物もモンスターであっても現れないからな。

安全なもんだよ、うん。


まぁ、己が放った術が一番危険なんだがな。


特に雷遁の術がなぁ…

敵を殺さずに捕らえることが可能な雷遁の術は、捕物などには最適な術なんだよ。


個々を狙ったり、複数を同時とかな。

威力次第では麻痺させるだけだから、生きた侭で捕らえることを想定するなら、修得しておきたい術ではある。


あるんだが…

『マスター?

 土遁の術にて造り出した的が崩壊してますが… 何度目ですか?』


いや、何度目でしょうかねぇ?

っかしいなぁ。

だいぶん威力を押さえたんだが…


『確かに修練の最初頃よりは、威力が落ちてはいますね』


そうだろ、そうだろ。


『ですが… 術を受けた生き物が消し炭になる威力なんですが… 』


こうなれば忍術に頼らず、体術で気絶させれば良いんじゃね?


『どういうことです?』


だからな、首トンとかさ。


『あれは物語などて良く描写されているようですが、下手をすると普通に死にますが?』


そんなヘマしねーよっ!

以前に密偵協力で賊を捕らえるのに、何度かやってからな、でぇ~じょうぶだっ!


『……… ……… ………

 マスター?』

なんだよ?

『麟を練った後から身体能力が上がってますが、大丈夫でしょうか?』


あっ!?


即座に土遁の術で人形ひとがたを造り出し、首トンを試したんだが… うん、確かに首トンだな。


トンって感じで首が切り落とされたよ。

いや、手刀なんだが…


土人形だったから、脆かったんだよな、うん。


『マスターねぇ…術の威力を抑えられてませんよね?

 当然、土遁の術も当て嵌まりますよ。


 その土人形は鋼鉄製の物と強度は変わりません。

 当然、人に同じことをすれば、人の首が飛びますので』


それって、普段の生活にも支障がでるんじゃぁ…


『それは大丈夫かと』


んっ?


『今朝がた普通に朝食を摂られてましたし、ミーシャちゃんを撫でてましたよね。

 制御不能なら食器は粉砕され、ミーシャちゃんは死んでますから』


そう言われれば…

では、何が…まてよ。


もう一度、戦闘意識ではなく気楽に土遁の術を。


『おお、人と変わらぬ強度です!

 何をなさったのですか?』っうべティの問いには応えず、人形へ首トンを。


今度は首は落ちず、気絶させるだけの絶妙な力で首トンがか。

当てる位置も角度もバッチリだ。


『素晴らしい!

 これならば相手のダメージは最小限にて、相手の意識を奪えるでしょう。

 ですが… 本当に、なにをなさったので?』


ああ、意識の違いだな。

今朝の話を聞いてな、戦闘意識から意識を通常へ戻したんだわ。


まぁ、力が入り過ぎてたってとこかな?


そう告げて、土人形へ雷遁の術を。

うん、気絶するか、痺れて動けなくなる程度だな。

まさか気持ち1つの問題とは… 全く気付かなかったぜっ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る