第105話

マユガカを間引く数により、里から一時的な退去が許可された訳だが…


「べティさぁ。

 本当にスタンピートが起こらないレベルの間引きが、今回の討伐で、できんだろーな?」って、思わず確認を。


『問題ありません。

 火遁の術は延焼が恐いため、この度の修得は見送りますが、水遁の術に氷遁の術や風遁の術は身に付けていただきますので。


 雷遁の術と土遁の術は繁殖地にて修得を目指しましょう。


 出来ましたら森にて樹遁の術を身に付けていただけますでしょうか。


 水遁や風遁などと比べ、氷遁や樹遁は修得難度が高いため、難しければ討伐後に修得をめざしましょう。


 まぁ、水遁と風遁を身に付ければ、森の中での殲滅速度は上がりますので。

 雷遁の術を覚えれば、繁殖地にてマユガカの成体、幼体に関わらず殲滅速度が上がるでしょうね。


 なので、術を覚えていただければ、予定通りの間引きが可能とおもわれます』

そんなことを告げてくる訳だが…


「そんなに容易く術の修得が行えるものかねぇ?」

懐疑的になるのも仕方ないよな?


『万華眼や遠多聞を身に付けたマスターなれば、修得可能なハズです。

 これらの修得難易度のほうが高いのですから』ってさ。


まぁ、麟へ属性を与えて放出するだけだから、難易度は下がるのだろう。

まぁ、樹遁の術は樹木を操るらしく、ただ放出するだけの術よりは、難易度が上がるらしい。


そんな話をしながら森へと。

ロンダルトさんは里長となり、里の仕事を行うって張り切って出掛けたよ。


麟をあつかえるようになったためか、さらに身が軽い。

先日よりも早く森へとな。


気配察知能力も向上しているんだが、万華眼と遠多聞にて周囲を探査するのが容易くなってんぞ。


未だに、動物やモンスターが到っておらず、マユガカが撤退して居ない空白地域とでも呼べば良いような場所へと。


そんな都合が良い場所を見付けるのは、普通ならば困難であろうな。

だがな、万華眼を駆使すれば、容易く見付けることが可能なのさ。


そんな場所にて忍術を。

まずは風遁の術だ。


っても、麟へ属性を与えて放つだけ。

最初は軽く、そう、そよ風ていどにな。


そして強風、圧縮した塊を、そして旋風からの小規模竜巻へと。

鎌鼬や風の刃もあつかえたぞっと。


次に水遁の術、氷遁の術を試し、樹遁の術をな。

案外容易く行えたので、拍子抜けしてたらさ。


『普通ならば無理ですからね。

 ディサピィルであるマスターだからこそでしょう。


 さて、術を試すのは、もうよろしいのでは?

 森へと入り込んだマユガカを殲滅し、繁殖地へ向かいましょう』


「そうだな。

 万華眼と遠多聞のお陰で死角はないから、倒す先を決めて行けるのが有り難い。


 さてっと…あちら方面にマユガカが集まってっから、まずは、あそこからだな」


そう呟いてから俺は定めた地へと。


素早く移動してマユガカが集まっている場所へと着くとな、まぁウジャウジャと…


万華眼で見て知ってはいたのだが、現場へと到れば気持ち悪さがな。


サッサと始末しますかね。


俺は複数の術を掛け合わせて放つことにした。

まずは風遁の術にて小規模竜巻を、それへ水遁の術にて霧を巻き込ませる。

さらに氷遁の術にて霧を凍らせて…


細やかで鋭い氷の粒子を含んだ竜巻。

これがマユガカの群れへとな。


こんな竜巻へと巻き込まれたら、ただてはすまない。

竜巻に揉まれ、氷の粒子に削られたマユガカが、見る見る内に殲滅されてくわい。


これが忍術…恐ろしい。


先日の苦労は、なんだったんだろうな。

いきなり現れた竜巻から逃れようとしたマユガカも居たのだが…

樹遁の術にて退路を塞いでおいたため、逃げるに逃げられない状態でな。

ここのマユガカは駆逐できたよ。


忍者って最強過ぎね?


『いえ、マスターだからですね。

 普通は、この規模の術を展開できません。


 マスターは、あつかえる麟が多く、かつ、麟の質が高いのです。

 これは精霊因子の影響かと思われます。


 この規模の術は、普通の忍者にはあつかえないですから』


べティに言わせるとな、俺は忍者と魔術師のハイブリッドで、さらに上位互換らしいわ。


無詠唱にて素早く術を放ち、かつ、その術規模が広範囲にて高火力と…


人間兵器ですね、ありがとうございます。

っか、なんで、こうなったし?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る