第101話

夕食をいただき、風呂も終えた。

当然ながら、風呂上がりの飲み物もな。

本日はミックスジューチュなる物の後に、スーパーラガーとやらをキングサイズにて。


喉に稲妻が流れるほどの爽快感が…

美味っ!これ美味ぁっ!!


思わずお代わ…ドアの隙間から覗く瞳と目が合う。

ホラーですか?


青くなる俺とロンダルトさん。


「は、はは、あはははっ。

 今晩は、これで上がりましょうか?」

「そ、そそ、そう、だな。

 うん、上がろうか」


カタカタ震えつつ呟くロンダルトさんの声を聞いていると、スッと閉まるドア。


こ、こわっ!

サマンサさんとは、分かってはいるが…鳥肌が…


すぐさま、客室へと退避しましたよ。


いやね、ロンダルトさん?

縋るように見られてもですねぇ。

あなたは夫婦の寝室に向かうのでしょ?

俺に、どうしろと?


さて、客室へと戻った俺は、チャクラ開眼の続きをば。

瞬眠の指輪にて通常の睡眠が不要な俺だ。

夜通し鍛練しても問題はないのでな。


そう思い、燐より燐へと精製するためにチャクラを練った訳だが…


「なんで30分も掛からずに精製できるようになれたんだ?」

思わず疑問をな。


『魔那を燐へ精製する工程と同じということもありますが…やはりマスターがディサピィル種のディサピィル・トーカーであることが原因でしょう。


 現在は左手首に巻かれた封印の鎖にて、精霊因子が弱体化しておりますが、それでも精霊因子を身に宿す恩恵は多大なものとなります。


 さらに私のサポートもございますので』

べティが、そんな説明をな。


まぁ、これで忍術発動の準備が整った訳でな、さっそく…


『マスター。

 続けて麟よりしんを精製すべきです。


 秦があつかえれば、癒しの術を行使可能となります。


 さすれば、身の安全性をさらに担保可能となるでしょう。

 精霊因子を持つマスターなれば、精霊の階位である秦までなれば、精製可能と思われますので』

そんなことをな。


ふむ、確かに癒しの術を修めておくのは、今後のことを考えても有用だろうな。

特に鎧が纏えない間や、他者を癒す術を持つのは色々と有利だろう。


そう考えた俺は、べティの薦めに従い秦の精製を行うことに。


行う工程は今までと変わらないのだが…難易度は跳ね上がった。

正直、魔那から燐を精製する時よりも厳しい。


燐から麟を精製するのは、魔那から燐を精製する行程の模倣であり容易かったのだが…


秦を精製するのは初めての精製である燐精製と比べても厳しいものだったんだわ。


それでも明け方である朝の4時頃には、秦を精製可能になっていたがな。


べティによると、精霊因子を持つ俺の階位は精霊と同レベルらしく、下位の階位である麟精製は、コツを覚えたら楽に行えるものだったらしいんだ。


燐精製はコツを掴むのに梃子摺ったが、コツさえ掴んでいれば麟精製より楽に修得できるんだとさ。


だが、同一階位である秦精製は、修得が厳しいらしい。

らしいのだが…


『マスターは、精霊因子を2つも持つ稀有な存在です。

 っと言うか異常であり、理より外れた存在と言えるでしょう。


 ディサピィル種の精霊因子とディサピィル・トーカーの精霊因子の2つを併せ持っているのですから…


 本来は私のサポートがあっても、このような短時間での修得など不可能なのですよ』


い、いや、おま…

異常で理から外れたって…酷くね?


『事実ですから』


ヒデェっ!

まぁ、実際に短時間で秦まで精製できるようにはなった訳だし…


なら…神精製までいっちゃう?


『無理です。

 いえ、数年ほど修行するならば、あるいは…


 ただし、人里離れた深山にて、世と関わりを絶っての修練が必要でしょう。

 行いますか?

 サポートいたしますよ?』


いやじゃぁぁぁっ!

なんで新婚なのに、嫁さん放って深山で何年も修行せなならんのじゃぁっ!


NO修行!絶対ダメっ!


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