第100話

7つのチャクラを認識し、全てを魔那にて回すことには成功した。

胆のチャクラを起点に7つのチャクラを魔那が巡り、魔那が精錬されていくのが分かる。


『この状態は魔術師が魔那を集めつつ、呪文を詠唱し術を放つ前と同じとなります。

 ここで魔術をイメージし、術を放つ行程を経れば魔術が発動しますが、この度は割愛して先に進みましょう』


いやいや、軽くサラリと流そうとしてっが、それって忍術が使える忍者は、魔術が使えるってことか?


忍者が魔術を使えるって、初耳なんだが?


『忍者で魔術を使った事例は知られていません。

 それは忍者が、この段階にて魔術を放てることを知らないからです。

 放つ術を知れば、忍者も魔術を放てますよ』


そんなことをな。

忍者って、俺が思っている以上に強いのか?


『それよりも次の段階へ進むので、集中してください。

 燐をあつかうのは危険を伴いますので、油断は禁物なのです』


危険?

なら、なぜ燐をあつかうんだ?

魔術を放てば良いと思えるのだが?


『魔那より精製した燐は、魔那よりあつかい易く、威力調整も行い易くなります。

 そのため魔術では成し得ない術を構築できるのです。

 ただ…』


ただ?


『安定性に欠けるため、暴発の危険が伴います』


ダメやん。


『そうですね。

 忍術の創成期には事故が多発したそうです。

 そのため燐を精製し麟とし、術を放つようになったのです。


 麟にて構築された忍術は、印にて容易く制御でき、さらに高威力を容易く発揮させられます。

 逆に威力を抑えたり、影響範囲の制御も容易いのです。


 さらに麟は理を捻じ曲げる力もあり、魔術では不可能な事象をも作り出せるのです。


 また麟を精製し秦へと昇華させれば、聖術をも超える癒しの術を施すことが可能となります。


 聖術とは、秦より昇華した神にて構成された、聖霊より力を分け与えられて発する術なのです。


 その際の階位は麟と同レベルですが、聖霊の介添えがあるために癒しが発動します。


 忍術では聖霊の介添えがないため、癒しは行えませんが、麟を秦へと昇華させれば、可能となります。


 このようにチャクラを用いた魔那の精錬は、非常に有能であり極めたい技術であります。


 とは言え、階位が高い精錬になればなるほど、難易度が上がりますが…


 兎に角、今は入門精錬とも言える燐を精製しましょう』


そう告げられ、燐の精錬へとな。

これが難しかった。


チャクラを回し魔那を集め濃度を上げることはできる。

できるのだが…ここから燐へ転ずることがな。


べティの補助を受け、なんとか魔那を燐へと精錬できたよ。


しかし、なんだ。

魔那を圧縮していけば燐になると勘違いしたのが敗因だな。


魔那を解すように、不要な力を除き純粋な力となるように意識しなければ、ならなかったんだ。


ここへ考えが到るまでが厳しい。

これは己で気付かないと、燐の品質に関わるため、教わることはできない。

自分で探しだし理解するしかないんだとさ。


でぇ、燐の精製に成功して目を開けたら…え香りが…

またかい!


いつの間にか夕飯時にな。

目の前にミーシャちゃんが、困ったように立ってて、ちょっと驚いた。


この修行は、辺りと隔離される感じで危険かも…

って考えてたらな。


『その点は、ご安心を。

 私が代わりに索敵しておりますので』


まぁ、そう言うことならば、頼るかねぇ。


「あ、お兄ちゃん起きたよ。

 良かったぁ~

 今から配膳するから、晩御飯食べようよ。

 ミーシャ、お腹空いちゃった」っう催促がね。


「分かったよ。

 今から行くね」って、リビングのソファーより立ち上がり、ダイニングへとな。


今日はロンダルトさんも帰って来ており、既に食卓へと着いていた。


「どんな調子だね?」っと尋ねられたのでな。

「術の発動までには、まだ掛かりそうですね。

 明日の朝までには、発動可能にしたいところです」


そう応えたらな、ロンダルトさんが訝しげにな。


「今朝の精霊新聞には、チャクラとやらを認識するのに、早くとも数週間から1月、下手をすると年単位だと書かれておったのだが…

 もうチャクラとやらを?」


あれって、そんなに時間が掛かることだったんだなぁ…


「べティの補助があればこそですよ。

 今は、燐の精製まで終わっています。

 朝までには麟の精製まで終わらせたいですね」ったらさ、呆れられた。


精霊新聞の記事が正しいのならば、規格外すぎるとさ。

失敬な。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る