第102話
秦を練ることまで行えるようになったため、次の段階へと。
マユガカ討伐は、今朝から行う予定だが、朝食をいただいた後に向かう話となっている。
朝食は7時以降であり、3時間は余裕がある計算だ。
とは言え、そんな短時間にて忍術があつかえるようになれるとは、思えないが…
そう思ってたらな。
『7つのチャクラを回すには、経絡経由にて燐や麟および秦を、チャクラからチャクラへと伝える必要があります。
人体には血管よりも多くの経絡が細部まで張り巡らせており、その経絡経由にて麟を発することで、忍術が発動いたします。
私もサポートいたしますので、案外容易く修得できるやもしれませんよ』って、べティが告げるため、試してみることにな。
まずは屋敷を出て庭へと。
練った秦を経由にて手のひらへと集める。
べティのサポートもあったため、容易く手のひらへ秦がな。
そうして集めた秦を枯れ草へと近付けると…見る見るうちに青々とした青草へとな。
「お、おおぅ」
劇的な変化に驚いて、思わず声が。
『精製は難しいですが、秦が一番あつかい易いのです。
ただし、秦の使用には注意が必要です。
秦は細胞を活性化させ、生命力を高め癒しますが、細菌や異常細胞までも活性化させてしまいます。
そのため正しいあつかいを修得する前に、安易な使い方をすると事故を起こしますので、留意願います』ってなことだった。
便利で強力な力をあつかう際には、間違えれば多大な被害を齎す場合がある。
これも、その1例だろう。
怪我などを癒す場合、雑菌を取り除く必要はあるにしても、秦にて容易く癒すことができるらしい。
本格的な修得には時間が掛かるため、秦を使用した治癒術の修得は後回しとなった。
まずは、秦を経絡経由にて放出した感覚を忘れない内に、麟を経絡経由にて放出することに。
まぁ、麟も秦よりは、あつかい難いが、それでも苦労するほどではな。
それよりもだ、放出せずに手のひらへ留めるほうが、苦労した。
本来は、この留める行程のサポートとして、印を切るらしい。
だが俺の場合は、べティがサポートしてくれるため、印を切る必要はなかった。
っても、べティに教わり印を切るとな、経絡に対する流れの制御が容易くなり、さらに楽に麟を手のひらへと集めることが。
『これが、基礎中の基礎となります。
次に足の裏へ麟を集めてください。
集まりましたね。
では、放出しながらジャンプです』
べティの指示通りに跳び跳ねた訳だが…
「うっ、わっ!
って、マジかぁっ!」
空に浮かぶ雲を突っ切りましたけど…雲って霧みたいなものなんだな。
身近で感じて知りました。
っか!着地ぃっ!
どうすんのよっ、これぇっ!?
『大丈夫です。
落ち着いてください。
足裏へ麟を集めましょう。
先程よりは少なく、そして緩やかに放出を。
落下速度が落ちてきましたね。
そう、そうです。
素晴らしい。
こな短時間にて、宙へ留まることが可能になるとは!』
足裏からの放出にて落下速度を相殺したためか、現在、俺は宙に留まると言う非常識な立ち位置に。
『初めて足裏から麟を放出するというのに、あのような高高度へと到るとは思ってもいませんでした。
流石はディサピィルです。
しかも宙に留まれるならば、水面を歩くことも容易いでしょう。
下へ降りたら、軽く池を歩いてみましょう』
いやべティさん?
池を歩くって…池の周りではなく?
それって、明らかにおかしいですからね。
まぁ、無事に地上へと帰還した後、べティに言われる侭に池へと。
足裏から軽く麟を放出しつつ、水面へと。
あららっ、本当に池の上を歩けてんぞ。
こら、おもしろい。
しばらく足裏から麟を放出しての水面移動を行っていたら、べティから次の指示がな。
『慣れてきたみたいですので、次に進みましょう。
足裏から放出している麟を、膜状にして足裏へと纏ってください。
その際に、麟が水面と反発するイメージにてお願いします』
いや、いきなり難易度が…
『そうそう。
この印を切りながら行えば、楽に行えるハズです。
むろん私もサポートいたしますので』
べティに告げられ印を切る。
したらな、容易くイメージ通りにな。
べティによると、常に放出を行うのは効率が悪いため、留めての活用が有用なのだとか。
始めて40分近くだが…有用な術を身に付けられるのだろうか?
ちと不安になっちまったぜっ!
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