第26話
魔術師は実力者であり、組織の上位者だったようだな。
なので単独行動が黙認されており、魔術師も当たり前のように1人行動していたみたいだ。
だからか、俺が始末したことに気付かれないことに…
それに比べて他のヤツらはチームで動きやがる。
隙がないため、始末がな。
それでも斥候職のヤツらは単独行動かツーマンセルにて動いてんよ。
そらなぁ~
俺も斥候職だから分かるのだが、斥候てぇのは偵察が主任務。
つまりは、潜んで情報を探るのが仕事な訳だ。
なのに集団で行動なんてしたらな、潜めるものも、潜めやしねぇてぇのっ!
いや、分かる、分かるよ。
だけどなぁ…単独行動は狩りやすいんだわ。
次から次へと斥候を狩る。
狩るんだが…潜んで移動する斥候達を、他のものが捕捉できる筈もない訳で…
狩られても、誰にも気付かれないってな。
単独行動組は全て始末した。
次はツーマンセル組だな。
相方の気配を確認しつつ辺りを探っている。
相方を視界へ捉えなくとも、互いに認識しつつな。
それでもな、伺い難い場所もあり、そのような場所を探る場合には、意識がそれるものだ。
その、一瞬をっ、ね、ら、うっ!
致命的な一撃が、探っていた斥候の相方を穿ち、その命を狩ると同時に亜空間倉庫へと。
瞬時に消えた相方の気配に驚き振り向く姿には、動揺のために隙がな。
むろん、そんな隙は逃さんよ。
空かさず打ち取り、亜空間倉庫へと。
そのように、ツーマンセルの斥候を始末して行く。
忍び潜む斥候達を、始末しても覚られない。
だが…
相方を失い、仰天したところを射殺したんだが、そんな所へ大規模な電撃が放たれたわけだ。
弓矢を使用せずに、直接倒していたら…黒焦げだったな。
どうやら斥候を始末していることがバレたようだ。
こうなったら、斥候を狙う意味がない。
倒された斥候付近に、俺が居ると分かるだろうからな。
そうなればだ、優先的に狙うのはマジックキャスター達だな。
魔術師を狙うべきだ。
俺を探るのではなく、仲間を見張っているからな。
倒した付近へ魔術を放たれたら、紛れ当たりがないとも言えない。
素早く移動し、ターゲットを捕捉したら射つ。
射ったら、即座に移動だ。
亜空間倉庫へ死体を仕舞うなど、最早行うつもりはない。
既にバレているのだから、隠蔽は不要だからな。
俺は壁を蹴り、宙を弾け飛ぶが如く走る。
気配を絶った俺を捕捉できる者なし。
俺が移動した後に、術が着弾し弾けているな。
移動先を予測して術を放つ者も。
だが、既に魔術師の数は減り、陰陽師の符術や聖術師の光の槍が放たれるのみ。
テイマーがモンスターを向かわせるが、味方の術にて数を減らしてんぞ。
最後の魔術師を倒した頃には、
テイマーが使役するモンスターが走り回って邪魔だが、流れ弾的な術にてたおされてんな。
テイマーを倒してもモンスターの数は減らないため、陰陽師を優先的に狙う。
陰陽師が使役する式神は、陰陽師が倒されたら消えるからな。
まぁ、テイマーを殺され制御下より解き放たれたモンスターが、賊達を襲っている。
そのため、傷付き倒れる者も。
俺も流れ弾や流れ矢にて怪我を負ったりしたが、ホワイトスライムにて傷を、矢に塗られた毒にて犯された異常をブラックスライムが癒してくれる。
闇雲に術や矢をバラ撒く輩がいるから、避けれない場合もな。
だが、味方へもダメージが広がってんだが、良いのか?
賊達は聖術師達が倒れたことにより、癒し手が減り苦戦を。
魔術薬にて凌いでいるが、厳しそうだ。
癒しの魔道具が存在したら助かるのだが、生憎なことに、そんな魔道具は存在しない。
魔法や魔術に癒しの術がないためでもあるが、癒しの術は無機物を起点とした展開が行えないためだ。
スライムが唯一、聖術師以外で癒しの術を扱えるのみなのだ。
大規模魔術が放たれ続けたためか、魔那濃度が上がっているようだ。
モンスターに比べ高濃度魔那に弱い人族は魔那酔いを起こし易い。
そのため動きが鈍った者達が、モンスターの餌食へと。
倒さなくとも数が減るため有り難いぜっ!
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