第25話

洞窟前で辺りを警戒する賊2人。

そいつらの真横で2人を観察する俺ってな。

状態を知れるヤツがいたら、酷い絵面に見えることだろう。

ある意味ギャグだな。


しかし…良い品を装備してんなぁ。

革鎧はモンスター素材だろう。

ナマクラ刀なんぞでは、傷1つ付けられんだろう。

槍もモンスター素材と高品位鉱石から造られていると思われる。

刃が蒼白く光ってっから、なにかの能力を秘めてんだろうな。


明らかに、領軍装備が相手にならんレベルだ。

見張り達の動きは、達人レベルではないが、それに準じるレベルだな。

こらぁ領軍では相手にならんわ。


それだけ観察したら洞窟内へと分け入る。

んっ?見張り?

倒さんよ、バレたら騒ぎになっじゃんか。


洞窟内には軽いトラップが。

鳴子もだが、綱が低箇所へ張られてんのが嫌らしい。


薄暗いから足元が見え難いんだが、見落としそうなポイントへロープがな。

足を引っ掛けて転倒したら、下はゴツゴツした岩場だからダメージはデカイだろうよ。

しかも、金属鎧を部分的にでも身に付けてたら、転倒時に音がするだろう。

洞窟内は音が響くから、鳴子代わりにもなるってか?


お手軽に作れて費用も掛からない。

それで効果は絶大てぇんだから質が悪い。


ってもな、暗視が利く俺にとっては、晴天下の如く明るいので無意味だがな。

子供の悪戯以下になりさがってんよ。


そんな洞窟を下って行くと、開けた場所へと。

日が当たる場所でな、呆れたことに畑があったわい。

鶏が放し飼いにされ、辺りを闊歩ってか?


村並みの広さがあり、村人みたいに賊が畑仕事を。

奥の方で壁から水が滝のように流れ落ちているのが見える。

伏流水でも流れ出してんだろうか?


滝から流れ落ちた水は滝壺に溜まり、そこから2つに分かれ流れている。

その川から引き込んだ水路を使用し、畑へ水を撒いてんな。


大型家畜の姿はないが、子豚が数頭彷徨いている。

あの大きさなら洞窟を通れるから、連れ込んだのだろう。


小麦粉も育てているから、兵糧攻めは不可能か?

っか、いつから居座ってんだろ?


予想外の光景に唖然としたが…住居はないため、居住区は別にあるのだろう。


身を潜めつつ、辺りを探って行く。

入って来た洞窟とは別に5つの洞窟が。

それぞれを探ったところ、2つは外へと通じていた。

いや明確には、もう1つもだが、崖の中腹へ出るため、下への移動は困難。

これは出入り口と数える必要はあるまい。


つまり、入って来た洞窟を合わせ、3つの出入り口があるわけだ。


6つの洞窟の内、3つが出入り口で1つが行き止まり。

後2つだが、1つは倉庫になっていた。


最後の1つは先が長そうだから、探索を中断して引き返したんだが、どうやら、これが正解だったようだな。


指輪の効果なのだろうか、近くかにて擦れ違っても気付かれない。

しかし…結構な人数だな。


村規模って言うよりも、町規模レベルか?

この規模の集団が居座ってんのに気付かなかったのかよっ!


こりゃぁ、本命のイドラの蛇は大規模てぇ言葉じゃ済まないかも…


奥に入ると、洞窟内が枝分かれしており、小部屋が多数な。

中には寝ている賊もいるので、そんな賊を亜空間倉庫へと…っと、無理か。

レジストされたわ。


違和感を感じたのか飛び起きたので、後ろから心臓を1突き。

その後、亜空間倉庫へと試みるとだ、スルリとな。

致命傷を与えたら収納可能と…


休んでいるヤツをターゲットに、次々と始末をな。


慈悲はない。


既に、コヤツらが商人を襲い皆殺しにしたことは分かっている。

ゲスが殺した人数や如何に犯し殺したかを自慢気にな。


ヘドが出らぁっ!


2百ほど始末しただろうか?

流石に異変を感じたらしく騒がしくなってきた。


単独行動を避け始めたし、マジックキャスター達が、探索を始めているな。

斥候職の動きが激しい。


いま動くのは、悪手だろう。

密かに潜み、機会を伺うが吉。


しばらく待つと、焦れた魔術師が1人離れ人気がない場所を探索し始めた。

集団行動を乱すのは、関心しないな。

だから、お仕置きです。


死角より弓を引き絞り、狙いを定めて…放つ!

魔術師の頭を射貫いたので、直ぐに亜空間倉庫へと。

行方不明さま、ご案内っとな。







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