第23話

夕暮れ道を1人歩き家路へと。

指輪の効能か、スライム達と寝ている恩恵かは分からんが、普通に歩いているのに歩みは速い。


軽く人々を追い越して進むんだが、追い越す度に驚かれるんだが…なんだ?


そんな感じで歩むと、直ぐに自宅ってな。

料理と晩酌用の酒も買って来たから、今日はゆるりとしよう、そうしよう。


ってなことで、自分の部屋へ…って、んっ?

誰か家の前に居るんだが…ユンファ?


「あ~っ‼

 やっと帰って来たっ!

 どこ行ってたのよっ!」ってな。


「いや、どこって…仕事だが?」

そう告げるとな。


「えっ?

 昨日、帰って来たばかりなのに?」っと、意外そうにな。


「ああ、喫茶ドトレに依頼がされててな。

 依頼人に会って来たんだわ。

 急ぎの仕事らしいから受けて来たんだ」

そう告げたらな、ジト目で見られた。

なんぞ?


「それで…安全な仕事なんでしょうね?って、なんで、目を、そむけるの?」


なんででしょうか、ねぇ?


「いや、だってな。

 俺、斥候職だぞ。

 危険がないかとか、敵地で情報を集めるのが仕事なんだからな。

 安全な訳ないだろ?」ったらさ。


「だったら、斥候なんて辞めれば良いじゃないのっ!」ってな。


をいをいっ…

「無茶言うなよ。

 仕事しないと、生きていけないかんな。

 生活できなくならぁな」

生活費を稼がないとな。


まぁ…遊んで暮らせるくらいの貯えはあるんだが…

特に、斥候喰らいの穴にて手に入れた財宝があれば、子々孫々まで左団扇ってな。


だが…それは平和な世の中であれば、だがな。

イドラの蛇が、ラウンドリムの治世を乱し、世を混乱に陥れたら生活も儘ならなんことになるだろう。


だから、嫌でもやらにゃぁならんのさ。

っても、そんなことをユンファへ言っても反発されるだろうがな。


「仕事なら、斥候職以外でもあるでしょ。

 教会で事務員を探していたわ」

真剣な顔でな。


「いやいや、勘弁してくれ。

 事務仕事なんて無理だからな。

 っか、それを言いに来たのか?」

話題を変えんと、拙い!


「むぅ…

 まぁ良いわ。

 なにか作ってあげようって思って来たのよ。

 食材は無いでしょうから、買いに行こ」ってか?


あんなぁ…


「流石に、この時間だと、店は閉まっていると思うぞ」

ここは魔道具で照らされて明るいが、外は真っ暗です。

外灯沿いなら別だが、反れると歩くのも儘ならないってな。


まぁ、ユンファは聖術にて辺りを照らすことができるため、闇夜でも移動阻害されることはないがな。


「あら、もう、そんな時間なのね。

 じゃぁ、どこか食べに行く?」ってきたからな。


「俺が食材を持ってるから、なにか作ってくれるか?」

そう告げたらな。

「ああ、例の指輪ね?」ってな。


昨日、説明してるからな、当然知ってる訳だ。


そして2人して俺の部屋へ入り、ユンファに料理を作って貰ったよ。


ミルクと生クリームにバターがタップリのクリームシチュー。

ベーコンや玉ねぎ、ニンジン、ブロッコリーとジャガイモなどなど。

大きめに切った具材がゴロゴロと。


聖術にて味を染み込ませてるから、短時間で具材に火が入り、さらに旨味がスープへと溶け出す。

これとバケットで、ご機嫌ってな。


ユンファの作る飯は、いつ食っても旨い!

ついでに言うならば、ユンファも美味い。

ん?


しかし…ユンファもスライムが気に入ってなぁ。

最初は気持ち悪がってたんだが…


一晩明けたらな。

「ねぇサイガ。

 スライムちゃん、1体欲しいなぁ~」ってさ。


だからな。

「良いぞ」って返したよ。


「えっ、良いの?」

ユンファ、キョトンってか?


「ああ、頼めば分裂するからな。

 どのスライムが欲しいんだ?

 だが、持ち運びは、どうすんだ?」

スライムを抱えたシスター…

ある意味新しいか?


「この子達って、マジックバックに入るのよね?」


「たぶんな。

 亜空間倉庫に入るから、大丈夫だろ?」ったらな。


「ジャァ~ン、これ、マジックボシェット!

 この間、買っちゃたんだよね」って自慢気に。


ちょっ、おまっ!買っちゃたって…

それって、かなり、お高かったような…うん、高額賞品でしたわ。


まぁユンファもフリーランサーとして、高額で依頼を請け負うからな。

金には余裕があるだろうが…よく買ったな、そんな高いの…


でぇ、ブロブを除いた全スライムに分裂して貰い、ユンファのボシェットへと。

ルンルン気分のユンファと1日デート。

次の日、ご機嫌状態で、俺の部屋から教会へ向かってったわ。


さて、俺も行きますかね。

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