第17話
話し終えるとな、ユンファが般若に…いや、本人には、言わねぇーぞっ、うん。
「ダズぅぅぅっ!
そんな危険な地図をサイガに渡すなんてぇっ!」って、教会から走って出て行った。
俺も慌てて追い掛けたがな。
でな、手間が省けるっうか、運が悪いてぇのか…
ダズが教会に向かって来ててなぁ。
ユンファにラリアット食らって轟沈してた。
いやぁ~、走りながらダズへと向かい、飛び上がってダズの首へとラリアット。
ダズはユンファの腕を支点に体が持ち上がり、背中から地面へと。
聖術にて身体能力を一時的に向上させての一撃。
大型熊でも吹き飛びます。
しかも、ダメージを一瞬で癒すため、痛みはあるが、怪我1つありません。
女性に轟沈させられた精神的ダメージは、絶大ですがね。
何せダズは2メートルを遥かに超える大男。
150前後のユンファに吹き飛ばされる、その姿はギャグでしかない。
まぁ…ダズがやらかし、ユンファに吹き飛ばされるのが名物みたいになってけどな。
ちなみに、ダズは妻帯者です。
武闘家の奥さんにも、良くブッ飛ばされています。
こちらの折檻も有名で、たまにユンファとタッグを組んで折檻を…
ダズ…いい加減に懲りろよなっ!
んでな、ブッ飛ばされたダズなんだが…
いきなりのことで、なにが起こったのか理解できずボーゼンと。
でぇ、自分が吹き飛ばされことに気付き…
「ユンファっ!
なにしゃぁがるっ!」って激怒。
そんなダズへな。
「うっさいっ!
死地に追いやるような地図をぉっ、良くもサイガに渡したわねぇっ!
サイガが、死ぬところだったじゃないのっ!」って、ヒートアップ。
「待て待てっ、サイガは無事に帰って来たんじゃねぇーのかよっ!」
ダズ、たじたじ。
「おぅ、生きて帰って来たぞ。
何度も死に掛けたがな」って、フォロー?を。
「はぁ?
死に掛けたって…おま、なにが?
あれ、ガセ地図だろが?」っからさ。
「いや、モノ本の宝地図だったぞ。
実際には、致死率百%近い魔法文明期の罠遺跡だったがな。
先に罠へ嵌まった先人達の死体が、ごろごろとな。
魔法文明期から現在までで、脱出できたのは俺だけらしい。
生きて帰って来れたのは、奇跡だわなぁ」ったら、目を剥いて驚いてたよ。
それからなっ、極悪遺跡について語った訳だが…成功報酬の亜空間倉庫の指輪について語るとな。
「なんじゃぁっ、それっ!
俺も欲しいぞっ!」ってな。
「う~ん…無理なんじゃね。
まず、俺の指輪は俺専用。
外せないし、無理矢理切り取ったら塵とかすらしいな。
しかも、7つの指輪を嵌めた後じゃないと、嵌めても機能しない。
っうか、嵌めた時点で死ぬ。
他の指輪も、すべてが適合しない者が嵌めたら…死ぬ。
っか、死んでた。
生き残る確率0で、致死率百%が8回。
しかも指輪を手に入れるには、極悪遺跡にて手に入れるしかない訳でな。
斥候職以外が挑めば、必ず死ぬかんなぁ、あれ。
ダズにゃぁ、無理じゃね」ったら、崩れ落ちたよ。
どんだけ欲しかったんやねん。
それからなんだが…
ユンファがな、お帰りなさい会をってな。
恥ずかしいから遠慮したら…泣き落としを。
おまっ、それ、卑怯なりやっ!
でぇ、フリーランサー仲間が集まり、お帰りなさい会ってぇ飲み会にな。
仲間内で飲んでると、話を聞き及んだ斥候職のヤツらがな。
「斥候職にとっての至宝が手に入るらしいじゃねぇか。
場所を教えてくれよ」ってな。
知り合いには、丁寧に危険性を説き、挑むなら自己責任ってことでな。
まぁ、全員が諦めたがな。
知り合いからの紹介も、同様に。
まぁ、挑むのを止めてたわ。
当然だな。
だが…知り合いでもない、紹介でもないのに、ズケズケと割り込んで来たヤツにはな。
「まずは、挑むなら自己責任だ。
なにがあっても、俺は知らん。
それが前提条件だからな。
ここには憲兵隊所属者も居る。
聞いてないは、通用せんからな」って前置きの後、丁寧に場所を教えてやったよ。
町から数名の斥候職が消え、その仲間も一緒にな。
評判の悪いヤツらばかりだったので、町の人達は、ヤツらが消えて喜んでた。
さて…無事に帰って来るヤツは、いるのかねぇ。
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