第9話
辿り着いた建屋だが、無造作に入ることはできない。
今迄が大丈夫だったからといって、考えなしに入れば詰む可能性もな。
だから、慎重に内部を探り、気配を消しつつ内部へと。
生き物の気配はない。
内部には、台座と…死体が1つ。
死体には指輪が7つ、だな。
ここまで辿り着き、指輪に殺されるとは…死んでも死にきれんだろう。
台座の上には石板、そして指輪が3つ、だな。
1つ目。
臭い遮断の指輪。
己の体臭もだが、意識した臭いも消せると…
2つ目。
魔那遮断の指輪。
己の魔那や魔力を覚られないようにするだけでなく、己の周囲にある魔道具などからの魔那も遮断可能らしい。
3つ目。
姿隠しの指輪。
一定時間、己の姿を透明にできるらしい。
臭い遮断の指輪は、臭い消しの粉があるから要らないかな?
だが…死体の側に転がる革袋の残骸から、臭い消しの粉らしき名残が…
この死体…臭い消しの粉を持っていたのに、臭い遮断の指輪を選んだのか?
もしかして、この先に、なにかあるのかも…
指輪を減らしたて死ぬリスクを減らすか…いや、その場合、先で詰む可能性も…
悩む、悩めるが…先が、どの位あるのか不明な今、時間を掛けるは悪手。
着けずに詰むよりは、着けるべきだろう。
1つ目、臭い遮断の指輪を右手親指へと。
うむ、生きてるぜぇ!
2つ目、魔那遮断の指輪を左手親指へと…
生き残れたか…
次だ、な。
この死体は、次を身に付けて死んでいる。
二の舞はゴメンだが…着けざるを得ない訳で…
ままよっ!わんざくれっ!
覚悟を決めて、3つ目の姿隠しの指輪を左手人指し指へと。
一瞬、クラっとしたが…生きてる、俺、生きてるよ。
だが、流石に疲れたわい。
しばし休息をな。
飯を用意し、1時間ほど横になる。
一瞬にて疲れが取れるが、やはり、ゆっくりと休むと気が楽になるようだ。
死の恐怖を乗り越え、移動の再開を。
建屋から出て洞窟へ。
しばらく進むと…滝?
をいをい、通路先に水の壁がな。
上から水が滝のように降り注いで、通路を分断している。
移動は可能だが、ずぶ濡れ必至であろう。
無論、臭い消しの粉は、洗い流されるだろうな。
どうやっても、ずぶ濡れになるだろうから、衣服を脱ぎ裸に。
背負い袋から防水効果のあるマントを取り出し、替わりに衣服と革袋をな。
背負い袋を防水マントに包み、それを抱えて滝を突っ切る。
びしょ濡れになったが、荷物は無事だ。
体を拭って…って、マジかぁっ!
見える範囲に次の滝。
通路にはラッドが、辺りの臭いを嗅ぎ嗅ぎ徘徊している。
臭い遮断の指輪をしてなかったら、滝にて臭い消しの粉が流され、ラッドに覚られいただろう。
俺のように荷物が濡れることを
臭い遮断の指輪が無ければ、ラッドに群がられ、あの世行きだろうな。
衣服を身に付けていたら、いたで、濡れた衣服から滴る水にて覚られる危険が…
この遺跡を造ったヤツ…
俺は裸の侭、気配を消しつつラッドの群れを避けて進む。
裸でラッドの群れを突っ切るのは、神経を磨り減らす作業だったよ。
生きた心地がしない…何度目だ、これ?
泣きたい気分だが、泣いても事態は好転しない訳で…
次々と滝を突っ切り、ようやく開けた場所へと。
ラッドの姿はない。
ようやく体を布にて拭い、衣服を纏う。
正直、体は冷えきっており、動きがぎこちない。
水補の魔道具にて白湯をカップへと。
それを啜ることで暖をとる。
水補の魔道具がなかったら詰んでたな、これ。
一休みし、先へと進む。
開けた場所へと辿り着いたのだが…
天井から光が降り注ぎ、身を隠す場所が無い。
オークとピファルダーが徘徊かぁ…
オークはブタが直立移動可能となったようなモンスターだ。
ゴブリンやオーガにトロルなどと共に、魔法文明時代に産み出されたらしい。
一説には、魔法文明期にな、ある帝国が従わない者達を捕らえ、生体実験にて生物兵器として改造した名残とか…
本当だとしたら、そんな文明は、滅びて当然だろ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます