第44話 山の聖人様

ガヤガヤガヤ・・・。

ん?


「おお!帰ったか!レイン」ポール


「何この人達は?」俺


「実は山の聖人という噂が広まって、

各地から治療を求めて集まったみたいなのじゃ!」ポール


「うそ!困る・・・。」俺


「そうなんじゃがな・・・。」ポール


「でも見過ごせなさそうだね」俺


俺は帰宅後直ぐに患者さんを見て回った。

軽い風邪から、重篤の患者まで様々だった・・・。

軽い人は爺ちゃんにお願いして、

睾丸スープとサラマンダーを用意してもらって、

熱のある人には解熱鎮痛ポーションを飲ませて休んでもらう。

一番の重篤患者は脳内出血の患者だ!

この人は一番先に目についていた。


直ぐに緊急手術をする。

シロに回復魔法をかけ続けてもらいながら、

全身麻酔を雷でかけて、頭を開く。

サーチをかけ、どこに出血しているかは確認できている。

血栓と血を抜き取り、ポーションをかけて行く。

ダメージを受けた脳も回復してくれないかな・・・

一縷の望みをかけた行為にはなる。

シロの回復魔法も効いてくれよ!と願いつつ。

縫合し、手術を終える。

幸い急変もなく、落ち着いた様子なのだが、

意識が戻るかは5部5部だろう。

結構なダメージだったからな・・・。

シロには朝と夕方には頭に直接回復魔法をお願いしている。

他の盲腸の患者さんはササッと終わらせ回復させる。

腹膜炎を起こしていた患者さんは、

ポーションで腹膜を洗浄して縫合してやれば、

翌日にはケロッと歩いて帰っていった。


ポーション万能です!

万能過ぎて、これがこの世界の医療を衰退させているのだが。

医療兵のトムさんにはこれ見よがしに手術をさせてみた!

俺について歩き、必死に学んでいた情熱のある人だ!

シッカリ、オペを成功させた!このままドンドン吸収していってほしい。


「レイン!頭の人、意識が戻ったぞ!」ポール


「え?うそ!すご!」俺


何と患者さんは普通に家族と話をしていたのだ!

へ?大丈夫?

「すみません、少し様子を見させてくださいね」俺


「聖人様ありがとうございます!ありがとうございます」家族


様子をみてみたけど、サーチにもどこにも異常はなく、完治していた。

ポーションとシロは凄いな!


その日からドンドン患者は集まり、

また、各地の医者たちも集まった。

患者の治療が終わると各地の医者を相手に講義が始まり、

俺は医療の針を進めるための教えを説いていった。

そうして山小屋は医者の聖地となっていき、

この最新医術を学びたいと、いっそう各地から医者が集まりだした。

そのため、俺はここに医療学校を設立することにした。

幸い俺には特許による資金と、広大な山の敷地がある。

鍛えた兵士とアルに力を借りて、校舎を建てた。


元々患者を診てきた医療従事者たちだけはあり、

呑み込みと理解力は高かった。

結構なスピードで俺の医療知識を吸収してくれた。

第一期の者達には、三期目の指導をしてもらい、

第二期の者達はその翌年にと、

年ごとに、次の者に知識を継承していく流れを作った。


又、途中からガルシアさんもここの学校に取り込み、

一緒に薬についての知識も継承の流れに乗せた。


俺はこの学校設立と軌道に乗せるのに、

3年かかり身動きが取れなくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る