三日目/夜の公園


「そろそろ夜になるな」


「ディナーはホテルで予約してますから大丈夫デスよ?」


「そうかありがとな」


しかし夜だというのにライトアップされてるから結構光ってんな。とりあえずルーを撮影しながら進んでいくとしよう。夜景にルーの姿が映えるなぁ。


「……」


「なんだ?」


「……この先に恋人が集うスポットがあるらしいんデスよ……」


「成程、行きたいと」


「ハイ……」


「んじゃ行ってみるか」


しかし集うスポットがあるとはなぁ……はてどんなところなんだろうか……いや教会!ガッツリ教会じゃねぇか!ライトアップされてるしさぁ!まぁそれはいいや、しかしいっぱい人いるなぁ。


「そうデスね……まぁ並んでみまショウ?」


「だな」


おっなんか書いてある。えー何々……『純粋なデートスポットとして人気!ここでキスをすると結ばれる……カモ?』じゃねぇんだよなんだこれは。んでカモ?の後に気持ち悪い顔文字付けんなマジで。


「キス……ですか」


「……だな」


「……」


……何とも言えない時間が過ぎていく。考えてみれば俺らキスした事あったっけか?思い出せないだけかもしれんが……な、少なくとも俺の記憶の中では一つも無い。何回かシた事はあってもキスの一つもしていない……


「……次、私達デスよ?」


「……だな」


俺教会って奴テレビとかでしか見たこと無かったんだけど……実際入ってみると凄い雰囲気だな、厳かという奴なのだろうか……。誰もいないな、まぁその為に人数絞ってるんだろうからな……


「……園歌」


「あぁ」


「初めてのキスは……園歌からがいいデス」


「……」


よし、行くぞ……行くぞ……あっ届かねぇ、どうしよう普通に身長が届かない!せめてこういう時くらいは恰好付かせてくれ!


「……」


「ちょっルー……ん!?」


「ん……」


だ、抱き着かれての思い切りキス!?しかも舌を思い切り絡ませてきて……!大丈夫俺の口は臭くは無いはずだ大丈夫なはずだ、落ち着け落ち着け俺!いや本当に落ち着けって俺!


「ん~……」


……いや、今ここにある全てを口に集中させるべきだろう。初めてなんだ、全力でこの瞬間を楽しむべきなんだろう。


「ぷぇっ」


「にへへ……どうだった?」


「あぁ……最高だ」


多分俺は今日の事を一生忘れることは無いだろうな。ま、しばらくぽっつき歩きながら進むとしましょうかね。今日は初めてのキスの日。


「園歌!大好き!」


「俺もだ。ルー」


……あぁ、今日も日が暮れるんだろうな。


「んじゃ帰るとしまショウ!」


「そうだな。ルー」

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