騒音響くこの街では


「……ダブルスとかあったのかぁ……」


「どした?」


「いんや、なんでもねぇ」


この街に来て早二か月。スラムって街はあたしの事をそんなに好きじゃないらしい。何度も殺されかけた。でもここの仕事は給料がいいんであたしはまだこの街にいる。そんなあたしは久しぶりにここに来た理由を思い出した。


「そう言えば世界大会が開催されるんだろ?」


「あぁそうだが?」


「あたしも何気に持ってるんだよねぇ……参加券。私にはもう向かないみたいだけどね」


「へー」


こいつは一々反応が薄い。と言うよりこいつが声を荒げる時ってのが白桃ってお嬢にいたずらされてる時くらいしかないんだ、まぁ白桃も平気で毒だの入れてくるあたり殺意が凄い。


「ところで、この街には慣れたのかい?」


「いんや、全然だね」


「そう……ま、慣れるさそのうち」


ハッキリ言わせてもらうが……このスラムの中で最強なのはこいつだ。何が強いって、この前弾丸を食らってなお平気で帰って来たんだぞ?こいつ。銃痕を何個も付けながら帰って来たんだ、流石のあたしもビックリしちまったね。


「そうだ、今日鍋作ってくれるけど何か食べたい物ある?」


「そうだね……あたしは肉が食いたい」


「キミいっつもそれだね……まぁいいや、ウニしゃぶにしましょう」


にしても。なんというか本当にこの家を見てるとスラムの中にあるとは思えないね。そこらへんで爆発が起きてるって事を伝えなければマジで気が付かないんじゃねぇの?ちなみに爆発に関してはこのスラムにいる『ハカセ』なる人物が捨てた地雷であるとの事。何やってんだそいつは……


「ウニしゃぶか……そう言えばミリエルはどこだ?」


「えっミリエル……?今確か買い出しに行ってもらってるね」


「そうか……」


住み込みで働いてるんだが、ミリエルって子は本当に良い子だ。と言うよりそれ以外がちょっと癖がありすぎるって感じではあるが。まずあたし。流石に変な奴だってのは自覚してるっての。そんで次に白桃って子。さっきも言ったけど殺意が高い。んでバイト二人。言っちゃぁなんだけどかなりのギャル。しかも黒ギャル。んでもう一人バイトのレイナ。こいつはさっきの二人と違って平日は朝から夜までいる。まぁドSだ。


「……」


ミリエルはただの幼女である。……まぁ、幼女と言うには頭に謎の輪っかが浮いているって言うのが甚だ疑問ではあるが。明らかに普通の奴にはついてないだろそれ。


「ところでさ」


「んだよ?」


「キミ世界八位になってるよ」


……マジで?そんなに活躍したっけ?

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