美月のスカートの中は見ちゃいけない

 一陣の風が、美月(高2)のスカートを舞い上がらせた。

「うおっ」

 その背後を歩いていたムッツリスケベの男子が、思わず声を上げた。

 

 普通の女子なら、壮絶な羞恥心に悶えて泣きながら走り去るか、苦し紛れにその男子をビンタしてしまうかもしれない。


 しかし美月は堂々としていた。

 なおも風に操られ続ける彼女のスカート。


 あらわになった下着のお尻の部分には、無数の灰色のヘビが描かれている。


 風がおさまって美月が振り向くと、男子はいつの間にか固まっていた。


 全身が石のように重々しく変わり、生気が完全に失われていたのだ。


 美月はそれを尻目に、何事もなかったかのごとく堂々と歩き去る。

 彼女の下着こそ、無数の怪しいヘビが描かれた「メデューサパンツ」なのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る