第19話 病院の先生、たまにいいこと言う

 正直、精神科に期待はしていなかったし、実際あまり大きい効果はなかったと感じている。

 ただ、ここの先生が稀にいいことを言うのだ。

「生きてる意味がわかりません」

 絶望しながら言うと、笑いながらこう返ってきた。

「なんとなく生きとったらいいよ」

 その時は、そうは言われてもなと思っていた。

 しかし、ネットで『生きることに意味なんかない』『人生は暇つぶしだ』『堕ちるところまで堕ちてもなんとかなるから大丈夫』『毒親育ちで生きていけない人、生活保護で生きてていい』などなど見ると、何もやる元気がないから、生きてちゃいけないわけじゃないと知る。

 『なんとなく生きとったらいいよ』の意味が分かってきた。なんとなく生きてていいのだ。生きる感覚なんてそれくらいでいいのだ。

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